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Finale

「ワタル、今日も一緒に帰ろう」  放課後、ふたりで連れ立って教会に向かう。それがここ最近の悠の日課になっていた。  最初のうちは莉音とふたりきりになりたがる彼に煙たがられていたが、今ではすっかり当たり前の日常だった。 「あ〜、クリスマスプレゼント、どうしよっかなぁ」  このところの環は、口を開くと同じ話題ばかりである。 「なに、まだ決めてないの?」  ぽりぽりと頭を掻きながら、環はスマホを差し出した。 「だいたいの候補はあるんだけど、先立つものがなくて」 「ああ、結構いい値段だね……これはバイトでもするしかないよ」  悠の言葉に大げさに顔をしかめて、環は「でも、りおに会う時間が減るのヤダ」とふざけたことを言い放つ。 「少しの間だけでしょ? いいじゃん、離れてる時間がふたりの愛を育てるんだよ」  悠は思ってもいないことを口にすると、先程コンビニで買ったばかりのスナック菓子を味見した。 「あぁ! それ、りおと食べようと思ってたのに!!」 「は!? 買ったのはボクだよ!!!」  相変わらず環にとっては莉音が最優先で、そのことが少しだけ悔しかったりもする。  それでも、いかにも幸せそうなふたりを間近で見守ることは、悠にとって嬉しいことだった。 「じゃあ、そっちのグミは開けずに持っていこうよ」 「当たり前でしょ。これは夕爾さんへのお土産なんだから」  悠が教会に行く目的のひとつは、夕爾とお茶を楽しむことだったりもして。 「いつの間にそんなに仲良くなってんの」  拗ねたように言う環がなんだか可愛くて、悠はよしよし、と頭を撫でてやった。 「いいじゃん、その間は莉音さんとふたりきりになれるでしょ」  それもそうか、と神妙な顔で納得すると、環は勝手に袋に手を突っ込んで菓子を掴み取っていく。 「バイトかぁ……深夜のコンビニなら、時給いいかな」 「そうだね、それなら莉音さんに会う時間も確保できるし」  その代わり、授業中は居眠り確定だな。仕方ないからノートは取っておいてあげようか。  たまには親友らしいことをしてやるのも悪くない、などと殊勝なことを考えてみる。  環と並んでバス停のベンチに腰掛け、うえを見上げた。  晴れ渡った空は、あの日と同じ碧さできらきらと輝いている。

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