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君への贈り物
仲直りと言うとおかしいが、睦月に喜んでほしいのもあって俺は自分の財布の中を確認してみる。
今月いろいろ我慢すれば買ってやれるほどの金額はあってほっと胸を撫で下ろした。
そのまま財布を閉じて一旦ポケットに入れると、もふもふの羊のぬいぐるみを片手に抱えてレジへ向かう。
会計の時にどことなく店員に変な目を向けられた気がしないでもないが、気にしないようにした。
スーパーから出た俺の足取りは早く。
急いで睦月にぬいぐるみを渡したくて家までの道を早足で歩く。
それでももっと早く会いたくて、いつの間にか早歩きから走り出していた。
そのまま家につくと鍵を開けてなだれ込むように中に入り、部屋の方へ声をかけた。
「睦月、ただいま……っ」
「……!」
ちょうど廊下の掃除機をかけていたのか、驚いた顔で俺を見つめる睦月とばっちり目が合った。
その睦月の視線が俺の瞳からゆっくりと下に下がって腕にぶら下げていたスーパーの袋から覗く羊のぬいぐるみに向いた。
驚いた時に僅かに見開かれていた瞳が更に大きく開いて、掃除機を床に置いてバタバタと居間の方へ走っていってしまう。
俺はそんな睦月を呆然と見送ったが、我に返ると慌てて靴を脱いでその後を追った。
「む、睦月っ! どうしたんだ?!」
居間に入ると睦月が電子パッドを手にしてこちらを振り返り、専用ペンで何かをカツカツ書き込んでからその画面を俺に向けてきた。
『それ、どうしたの?』
「えっと、睦月にあげようと思って……その、今朝は、ごめん」
俺の言葉に睦月がぶんぶんと大きく頭を振って、また電子パッド何かを書き込んで俺へ向ける。
『気にしてない。むしろ俺もごめん……。ユキのこと傷つけた』
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