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言い訳
朝食が済んだ後。
睦月は一旦着替えてくると言い残して自分の家に帰っていった。
俺からするとこちらの家に住んだ方が楽なのではないかと思わなくもないが、精神衛生上は俺の心臓がヤバそうなので、こちらからは提案しないことにした。
同棲も憧れなくはないのだけれど、触れられない分、睦月の心への負担も倍になることは確実だ。
それを抜きにしても一人の時間も大事だも思うので、お互いのためにも別居していた方がいいのだろう。
実のところは睦月自体は国からの援助で助けてもらえてるので、俺の家で面倒を見る必要はない。
ただ、放っておけないという個人的なワガママから面倒を見ることを買って出ている状態だ。
(言い訳でもしないと睦月と一緒にいられないしなぁ……)
こういうところが自分のことばかりなのだろうなと思わなくもないが、どうしようもない。
好きだから、せめて少しでも傍にいたい。
そんなことで悶々と頭を悩ませている|最中《さなか》に、耳にインターホンの音が届いて俺の意識が現実に引き戻された。
急いで玄関に行きドアを開けると扉の前スレスレに睦月が立っていた。
当の本人はびっくりして勢いよく後退る。
「おわっ……! おま……っ、なんでそんな間近にいるんだよ……っ」
「……っ」
近距離だったことと、触れてしまっていないかという心配から心臓が息苦しさを覚えるほど跳ね回った。
『ごめん』
「あ、いや……俺もごめん」
睦月の不安そうな顔に申し訳なくなって、首に手を当てて視線だけ逸らす。
そんな俺に睦月は電子パッドを抱えるように抱きしめてペコペコと頭を下げた。
「勢いよくドア開けた俺が悪いんだから気にするな。ホント、ごめんな」
謝る言葉に、睦月は緩く頭 を振ると、いつものようにふわりと笑顔を見せてくれた。
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