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漏れる本音
よくよく上から下まで見てみると、いつもはそこまで着飾らない睦月がレイヤードになっている白黒の服の上から暖かそうなモッズコートを羽織っていた。
下は黒のサルエルパンツに青藍色のフラットシューズ、首から十字型のネックレスをかけていて、いつものだらっとした感じが完全になくなってつい見惚れてしまう。
じっと見つめる視線に気づいたのか睦月が小首を傾げて電子パッドで話しかけてきた。
『どうしたの?』
「あ、いや。服、凄く、似合ってるから……。いつもはあんまりそういう風な格好しないし」
『ありがとう。こっちの方がいい?』
どういう意味だろうか?
睦月ならどんな格好をしていても俺には良く見えてしまうので、どちらがいいかと聞かれると非常に困る。
「どちらでもいいけど、たまにこうしてお洒落してくれるから特別感が、あ……る……。…………っ」
俺は、何を言っているのだろうか。
こんな言い方、まるで気があるって言ってるみたいじゃないか……!
「……?」
「えっと……あ! ここでこうしてても仕方ないし俺も鞄取ってくる! ちょっと待っててくれ!」
その場から逃げるように踵を返して、階段を駆け上がった。
睦月が一瞬小さく声を上げたような気がしたが、振り返ったら赤くなった顔がバレてしまうので振り返ることが出来なかった。
部屋に駆け込んで勢いよく扉を閉めるとズルズルとその場に座り込む。
「な、に……言ってんだ、俺は……! やべぇ……恥ずかしすぎる……っ」
自分の先程の言葉を思い出して床をゴロゴロ転がる。
でも、お洒落した睦月があまりに可愛くて、考えるより先に言葉にしたくなったのだ。
「うぅ……治まれ心臓……」
高鳴る鼓動と顔の赤みが消えるまで、それから十五分は部屋から出ることが出来なかった。
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