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二人でお出掛け
その後。
何とか落ち着きを取り戻して睦月の元へ戻ると、家の中に入って玄関で電子パッドに落描きをしながら待っていた。
「悪い、遅くなった!」
『大丈夫。いけそう?』
「あぁ、行こうか」
本当は手でも繋げたらいいのだろうが、触れることが出来ないので、俺は睦月が立ち上がって外に出るのを待ってから、自分もその後に続いて家の鍵をかけた。
外の天気は雲一つない快晴で日差しが心地よく降り注ぐ。
「それで、どこ行こうか。睦月は希望はあるのか?」
出かけるということは決まったけれど、どこに行くなどの話はしていなかったので、一応睦月になにか希望があるのか聞いてみる。
なければないで俺が考えるつもりでいたが、ちゃんと考えていたのかしっかりした返答が返ってきた。
『ストリートにある雑貨店行きたい』
「雑貨店か。確かストリート沿いの女の子に人気のアンティーク店のことだよな?」
最近出来た店らしく、うちの学校でも「昨日行ってきたー」などと話している女子が結構いた気がする。
睦月にしては人の多い場所を選んできたので少し驚きつつ、俺はスマホで時間を確認してから話しかけた。
「わかった。じゃあ、行こうか。雑貨店見終わったあとはその近くにある書店に寄ってからファミレスに行って昼飯にしよう」
嬉しそうに頷く睦月を一瞥してから歩き出す。
後ろからトテトテとついてきているのをチラリと視線で確認しながら、いつもより少し歩幅を小さくした。
そんな俺に追いついて睦月が隣に並ぶ。
俺と睦月の間には大人が一人入れそうな空間がある。
それでも、俺にとっては小躍りしたくなる距離だった。
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