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看病

『動けないってどうしたの? 大丈夫?』 「あー……どう言ったらいいかな……」  正直に話す勇気がなく返答に困っていると、玄関が開く音がした。  そういえば、睦月には合鍵を渡してあったんだ、ということに今更ながら気づく。  ドタドタと階段を上がってくる音がしたあと部屋の扉が勢いよく開いて睦月が顔を出した。 「……あ」  驚いたように見開かれた琥珀色の瞳とばっちり視線がかち合ってしまい、俺は熱で火照った頬を誤魔化すように顔を背ける。  カツカツと音がして逸らした方に睦月が回り込んでくると電子パッドを目の前にずいっと近づけてきた。 『顔、赤い。もしかして風邪?』 「あー……うん。昨日、布団被らず寝たからかもなぁ」 『嘘ばっかり。昨日の雨のせいでしょ?』  苦し紛れの嘘も当たり前のごとく見抜かれてしまい、気まずくなって俯く。  ぐらぐらと視界が揺らいでその気持ち悪さに眉を顰める。  流石に体を起こしているのが辛くなってベッドの縁に手をついて倒れそうになる体を支えた。 『とにかく寝てて。朝ごはん食べれそう?』 「いや……いらない……」 『わかった。飲み物持ってくる』  そう言うや否や、睦月は部屋から出ていくと階下へ向かった。  仕方ないので大人しくベッドに戻り、首元まで布団を被って縮こまる。  それからほどなくして、睦月がゼリーと水を乗せたトレイを片手に部屋へ戻ってきた。  それをベッドの横にある机に置いて小脇に抱えていた電子パッドをこちら向ける。 『なにか食べないと良くならない。丁度ゼリー買ってきてたから食べて。それと体温計と熱さまシート』 「ありがと……。頑張って、食べる……」  俺はなんとかもう一度、体を起こし机に置かれたゼリーとスプーンを手に取ってゆっくりと食べ始める。  ゼリーは常温だったおかげであまり体が冷えることはなかった。  半分ほど頑張って食べたが、それ以上は断念してトレイに戻すと、体温計で熱を測る。

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