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睦月からのメッセージ
翌日。
熱も下がって、体のだるさも頭の痛みもなく快調だった。
長引いていたら最悪学校を休むことになっていたかもしれないが、特にそんなこともなく。
いや、休めばオンライン授業を受けている睦月と二人でいられるのかもしれないけれど。
(……ばかだな)
頭の中に巡った邪な思考に自分で自嘲してから睦月が来るまでの間に朝食の準備を済ませる。
そんな時に、メッセージアプリからの通知音が耳に届いて、俺はタオルで手を拭いてソファの上に投げおいていたスマホへ駆け寄った。
ロック画面に睦月と表示されていて慌ててメッセージアプリを起動する。
『おはよう。ごめん、朝食いらない。ちょっと遅くなる。待ってて』
要件だけをまとめたようなメッセージに首を傾げた。
「どうしたんだ? 朝食いらないなんて珍しいな?」
せっかく作ったものを捨てるのは勿体ないので、ラップをして冷蔵庫に仕舞っておくことにした。
最悪、昼にでも食べてもらえばいいだろう。
適当にテレビのチャンネルを変えながら睦月を待つ。
しかし、八時を過ぎても一向に何の連絡も入らなかった。
(流石に、学校遅刻する……メッセージだけでも入れて行くか)
そう思ってメッセージアプリを起動しようとスマホをスワイプしたところで、聞き慣れたインターホンの音が家の中に鳴り響いた。
玄関に向かい扉を開けると、目の前には学校の制服に身を包んだ睦月が立っていた。
「…………え?」
一瞬、状況が掴めずその場で固まる。
瞬きも忘れて、目の前に立つ睦月を見つめた。
『ユキ? 大丈夫?』
不思議そうな顔で画面を向ける睦月の顔が目に入り、俺はようやく我に返った。
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