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交わらない気持ち
「……はぁ」
あの日から、睦月と上手く喋れていない。
いや、喋ることは出来る。
出来るのに……互いの視線は一度もしっかりと交わることがなかった。
「……どうすっかな」
学校には行ってくれている。
睦月が来ることに慣れたクラスメイトも最近は興味が失せたのか、見られることもなくなってちらほらと挨拶を投げてくれるくらいになっていた。
雅もあの騒動から何かを感じたのか、俺と睦月の関係をつつきに来ることはなく、本当に日常的には平和そのものだった。
だけど、俺と睦月の関係は、今まで噛み合って動いていたはずの歯車が外れてしまったように明らかに別の方向に回って、噛み合わなくなっていた。
どうにかしたいと思うものの、あのときに「何も聞かない」と言ってしまった手前、理由を聞くのもはばかられて、ずっとギクシャクした状態が続いていた。
「……はぁ」
「ユキ、どしたー?」
俺の前の席に座って机に突っ伏していた雅が人差し指で頬をツンツンと突 いてくる。
正直、元の発端はこいつの発言からなので、もう少し反省してほしいところなのだが……。
「……あの日から睦月と話せてないんだ」
黙っていても仕方ないので恨みも込めてそう口にすると、さすがの雅も眉を八の字に下げて苦い顔をした。
言われなくても理由自体は薄々気づいてそうだが、言葉にされると流石に申し訳ない気持ちにはなってくれたらしい。
……と言っても、俺にも原因はあるのかもしれないけれど……。
「まー、あの感じじゃ話しづらくなるよな。うーん……」
突っ伏していた上体を起こして腕組みをしながら唸る雅を一瞥してから、視線を後方の睦月の方へ向ける。
「…………」
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