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青い鳥

 本屋に着くなり雅は参考書の本がある棚へ行ってしまい俺と睦月は取り残される。 「本かぁ……。ちょっと前に見たしなぁ……」 「…………」  黙ったまま雅の去った方を見つめる睦月を、横目でチラリと見てからカリカリと頭を掻いた。  昨日よりもずっと普通に接することが出来るようにもなり気まずい雰囲気は薄れたが、こうして二人きりにされると何を話したらいいのか途端にわからなくなってしまう。 (どうすっかなぁ……) 「……ぁ」  そんなことで悶々と頭を悩ませている俺の隣で、睦月が小さく声を上げた。 「どした?」  そのままトテトテと絵本や童話が並べられているコーナーに歩いていき、一冊の本を手に取った。 じっと本を見つめる睦月の隣までくると表紙を覗き込む。 “青い鳥”  表紙にはそう明朝体で書かれた文字が並び、その下に青い世界の中で男の子と女の子が手を繋いでいるイラストが描かれていた。  男の子の頭には青い帽子が、女の子の手には鳥籠が握られていて、その周りを羽ばたく青色の鳥が印象的な本だ。 「懐かしいな、青い鳥。俺はあんま知らないけど、睦月はそれ好きなのか?」 「ぅん……」

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