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クリスマスパーティーの準備
冬休みも一週間後に迫った今日。
俺と睦月はスーパーにクリスマス用の飾りを買いに来ていた。
終業式が丁度クリスマスイブの二十四日にあり、学校帰りに俺と睦月と雅で一日早いクリスマスパーティーをすることになった。
せっかくのクリスマスイブに男三人でパーティーをすると言うのもむさ苦しいような気がしたが、雅がどうしてもと言い張るせいで仕方なく俺の家で開催することになったのだ。
天真爛漫、明るく気さくでクラスのムードメーカーな雅だが、あれで誰かと付き合っているというわけでもない。
本人曰く、一人の方が気楽らしい。
ただ本当のところはどうなのかは知らないが、学年内での噂だと、クラス内に気になるやつがいるとかいないとか。
「睦月、折り紙とクラッカー見つけたか?」
「うん。見つけた。ユキは風船とか、見つけた?」
「あぁ、一応。クリスマス用の風船とキャンドルとクリスマスリースに、壁に飾り付けするための紙ナプキンとアルファベット文字のオブジェセットも取ってきた」
「オブジェ、色、塗らないとね」
楽しそうに笑う睦月に俺も微笑み返す。
あの本をあげた日から、睦月はゆっくりとだけれど少しずつ普通に喋れるようになっていた。
最初は途切れ途切れだった言葉も今ではだいぶと多弁になり、電子パッドで話すことも殆どと言っていいほど無い。
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