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睦月からの誘い

「また飾り付けしてるんだな。もう少ししたらここら辺もイルミネーションでもっと明るくなりそうだな」 「そうだね」  俺たちの住む街では毎年クリスマスには街中にイルミネーションがたくさん飾り付けされ、それを見に観光客が集まったりすることがある。  俺も二回ほど睦月と二人で見に行ったことがあるが、色とりどりの光が溢れてとても綺麗だったことを覚えている。 「ねぇ、ユキ。今年、クリスマス、一緒に見に行かない?」 「え?」  ツリーに飾られたイルミネーションの光に瞳を揺らしながら睦月がぽつりとそう零す。  俺は一瞬、言われた言葉が理解できず何度か瞬きを繰り返して、ようやくその意味がわかってくると胸の奥がざわざわとざわめき出す。 「一緒にって……」  それって……デートってことか?  そういう意味じゃないだろと思っても勝手に勘ぐってしまい、自分でも分かるほど動揺してしまった。 「で、でも……せっかくの、クリスマス……だし……」 「……予定、入っちゃってる?」 「ない、けどっ! そもそも、睦月は予定はないのかよ?」  ……俺なんかで、いいのかよ。  そう続けようとして、その言葉を喉の奥で呑み込んだ。 「ない。ユキと、過ごそうって、考えてたから」 「…………」  睦月はふわりと光が灯るような、柔らかい笑みをその唇に浮かべて、そのままにこりと破顔した。  その笑顔はどこまでも幸せそうで。  俺の心臓はそれだけで狂ったように早鐘を打ち出す。

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