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クリスマス前の二人
それからクリスマス・イブまでの一週間。
学校から家に帰って、睦月と二人で飾り付けの制作に追われていた。
雅も手伝いたいと申し出てはくれたのだが、遅くなると夜は寒さも増す上、暗くなるのも早いので、電車通学をしていることも踏まえて丁重に断っておいた。
それに雅には悪いが、睦月と二人で共同作業が出来るのは素直に嬉しいことなので、正直手伝ってくれないことが手伝いになる、というか……。
(こんなこと言ったら怒られるより茶化されそうだけど……)
向かいの椅子に座って紙ナプキンでペーパーフラワーを作っている睦月へ視線を向ける。
俺の方はアルファベットのオブジェに緑と赤の絵の具を塗る作業をしていた。
「…………」
あの時。
青い鳥の本を買ってあげたあの日。
睦月が言った言葉が、今も頭から離れない。
いつかその答が出たとき、俺と睦月はどう変わるのだろうか。
それとも何も変わらないのだろうか。
(先のことなんて、わからない。でも……)
それが、もしも恋じゃなくても。
睦月の隣で笑っていたい。
愛おしい笑顔を一番近いところで見ていたい。
「……贅沢だな」
「え? なに?」
ポツリと漏れた言葉に睦月が作業の手を止めて顔を上げる。
「いや、なんでもない。ほら、今日中に終わらせないと明日本番だぞ」
「あ、うん。がんばる」
気持ちを悟られないように流しつつ、止まっていた作業に戻る。
睦月も僅かに首を傾げただけで直ぐに止めていた手を動かし始めた。
それから、お互いの間に会話はあまりなかったけれど、とても穏やかで静かに時が流れていった。
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