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君の表情

 それから七時過ぎに家のインターホンがなって、玄関で睦月を出迎える。  ついでにタッパーの後ろに貼られていた紙を目の前に差し出した。 「これ。わざわざ作ってくれたのか?」 「ぁ……」  小さく声を上げて上目遣いでこちらを見つめてくる睦月。 「その、食べた、の?」 「あー……いや、朝食の時に一緒に食おうかなって思って残してる」 「そっか……そう、だよね。俺が、朝ごはんにって、書いてたもんね」  何故かしゅんと落ち込んだように項垂れる睦月に俺は慌てて言葉を並べた。 「あ、その! 確かにそう書いてたけど、睦月と二人で食べた方がいいかなって……!」 「うん……」 「ご、ごめん……」 「ううん……」  相変わらず俯いたままの睦月に、俺まで何を言えばいいか分からず口を閉ざした。  え? 今のどこに落ち込むところがあったんだ?  さっぱり理由が分からなくて困惑する俺に気づいた睦月が、ぱっと顔を上げて笑顔をつくった。 「朝ごはん、しよ」 「あ、あぁ……」  靴を脱いで居間へ歩いていく背中を見送りながら、小さく息をはいてその後を追った。 「あのさ、睦月。ホントごめん。食べたくなかったとかじゃなくて、折角だから睦月と一緒に食べたいなって思ったんだよ」 「うん。わかってるよ」  相変わらずこちらを見ないまま返事をする睦月に、我慢できず更に声を上げた。 「出来たら直接その場で食べて感想言いたかったしっ!」  その俺の言葉で、ようやく睦月がこちらを振り返った。  え? なんだ?  どこに反応する場所があったんだ? 「ほんとに?」 「へ? え、えっと、ホントに……」  俺を見つめている不安そうな顔が、ふにゃりと崩れて嬉しそうな笑顔に変わる。 「朝ごはん、食べよ」 「え? あ、あぁ。そうだな……?」  急な態度の変わりようについていけない俺は、睦月の言葉に首を傾げながら頷くのだった。

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