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雪を見て

 買い出しを終えてモールから出ると、ふわりと何か白いものが目の前を通り過ぎた。 「あ……雪」  睦月の言葉に空を見上げると、確かに真っ白な雪がふわふわと空から舞い落ちて、アスファルトにシミを作っていた。 「さっぶ!! さすがに雪が降るとさみぃなぁ……」  雅が両手で体を抱きしめて擦りながら白い息を空に吐き出す。  そんな雅を横目に俺ももう一度空を見上げた。 「……キレイだな」  ぽつりと漏れる言葉。  舞い落ちる雪はまだそこまで強くなく、積もるほどでもない。  ふわふわと優しく舞うそれがより一層、眼前に広がる景色を幻想的にさせていた。 「雪、キレイ、だね」  水たまりに波紋が広がるようなそのつぶやきに、隣にいる睦月に顔を向けると、俺の視線に気づいたのかその口元が柔く笑みをつくる。  その小さな笑顔が舞い落ちる雪と相まって、とても、キレイだった。 「ほーら! そろそろ行こうぜ。睦月も!」  雅の元気な声が聞こえてはっと我に返ると、後ろから腕を引っ張られる。 「二人だけの世界に入んなよなー」 「はぁ?! 入ってねぇよ……」 「どーだか。二人で見つめ合ってさ――」 「あれ、雅じゃん」  不満を零そうとした雅の言葉に被せるように発せられた声に振り返ると、ちょうどモールから出てきたところなのか、ひらひらと手を振る男子生徒が二人いた。  着ている服が俺と同じ制服なので、同じ学校のやつらみたいだ。 「守屋(もりや)新田(にった)じゃないか。なに、二人もここに来てたのか」  守屋に新田……。  そういえば、クラスメイトにそんな奴らがいたような。  俺が雅と一緒にいないときは大抵、雅はこいつら二人といたはず。 「テキトーにぶらぶらしてたんだけど、暇んなったからさ。というか、雅はまた霜月といるんだ? ホント仲いいなー」 「あー、今日、雪ん()でクリパするんだよ」 「へぇ? そうなんだ?」

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