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雅との距離

 それから三人で自宅に向かい、途中まで済ませていた飾り付けの残りを雅と睦月に任せて、俺はパーティー用のビーフシチューを作っていた。 「…………」  だけれど、心はどこか宙をふわふわと漂うようにぼんやり揺れていて。  考えたいことは幾らでもあるのに、頭の中は真っ白のまま、言葉も何も浮かんでこなかった。 「ユキー! こっち準備終わったぞー?」  雅の声に何度か瞬きをしてかぶりを振る。  だめだ。こんな気持ちのままじゃ二人に申し訳ない。  なんとか自分の気持ちを奮い立たせて、ガスコンロの火を止める。 「こっちも出来たぞ。鍋敷き用意してくれると助かる」  「ほーい」と声が帰ってきて、雅がキッチンに顔を出す。 「鍋敷き……鍋敷き……あった」  後ろの壁にぶら下げられていた鍋敷きを取ると雅が後ろからひょこっと顔を覗かせた。 「おー、美味そー」 「くっつくな。つか、早く用意してくれ」  唐突な距離に一瞬ドキリとしてしまって、肘で小突いて突き放す。 「ダイニングテーブルに持ってけばいいのかー?」 「あぁ」  キッチンから出ていく雅の後ろ姿を見送って、小さくため息が零れる。  先程の守屋と新田のことがあってから雅に近づかれるのが妙に緊張する。  本人も否定していたし、そんなわけがないと何度も心に言い聞かせるが、一つ一つのスキンシップが気になってしまうのだ。 (……雅は、いい友達だもんな。そういう目で見れないっつーか……そもそも、俺と雅の距離感なんて普通だろ……) ふるふると頭を振って、何とかモヤモヤする気持ちを追い払った。

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