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落ち着かないまま
「いんや、二人は相変わらず仲いいな〜って! あ、そうだ!」
雅はポンと手を叩いて椅子から立ち上がると、ソファに置いていた自分の鞄の中をガサゴソと漁り出す。
「あった」
そう言って首を傾げている俺のところに袋を二つ持って戻ってきた。
「ほら、プレゼント交換しようって言ったじゃねーか」
「あー、忘れてた」
そういえば、そんな話をしていた気がする。
一応俺も用意はしていて、まだ部屋に置いたままだが。
「睦月は?」
「持ってきてる」
「睦月のが偉いじゃねーか〜! ユキのドジ〜」
「うるせぇな……」
お前のせいでそれどころじゃねぇんだよ……。
雅のからかいに舌打ちしてから、自分の部屋へプレゼント用に買ったものを取りに向かった。
「……はぁ」
一人になって、ようやく漏れないように我慢していたため息を吐き出す。
今まで睦月や雅といて、こんなにも疲れる日なんてなかったのに。
モールの一件以来、心の中がどんよりしていて、なかなか気分が乗ってきてくれなかった。
多少の愛想笑いは出来るつもりだけど、もしかしたら睦月にはバレているかもしれない。
「……はぁぁぁ」
そう考えただけで大きなため息が漏れてしまい、頭を抱えたくなってきた。
どっちにしても、うじうじ考えていてもどうにもないので、パンっと自分の頬を叩いて自室に入り、机の上に置いてあった二つの紙袋を手に取る。
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