73 / 166
雅からの話
プレゼント交換後のパーティーは、最初のときの気分の重さは紛れて、楽しく過ごすことができた。
雅のスキンシップもあまり気にならなくなり、三人で料理を食べたり、ゲームをしたりしてゆっくりした楽しい時間が流れる。
「あ、俺、そろそろ帰るわ」
七並べをして遊んでいる途中で、雅が壁にかけてある時計を見上げて申し訳なさそうに眉を下げた。
それにつられて俺も時計を見上げると、時刻は二十時を過ぎていて、確かにもうそろそろ帰らないと外も冷えてくるし、電車もギリギリになる。
「あ、なら途中まで俺もついていくよ」
せっかく付き合ってくれたし、雅を駅まで送るくらいはしたかった。
「マジ?! あはは、やっぱユキは優しいな!」
「別にそういうんじゃないって……。ほら、いいから準備してこい」
へーいと返事を残してソファにおいてある鞄を取りに向かう。
その後ろ姿を見送ってから睦月に話しかけた。
「俺、ちょっと送ってくるから。睦月は片付けして待ってて」
「わかった」
笑顔で頷く睦月に小さく笑いかけてから、雅の方へ足を向けた。
「あ、ユキ。一つ頼みいいか?」
「なんだよ?」
「ちょっと、話があるからさ。少しだけ、時間貰えないか?」
「それは、いいけど……」
雅のいつもとは違う真剣な表情に、何故か胸の奥に言いしれない不安が過る。
そんな俺の気持ちなど知らない雅は、鞄を持つとぽんっと肩を叩いてきてから玄関に歩いていった。
その後ろ姿を暫く見つめて、はっと我に返ると慌ててその背中を追った。
ともだちにシェアしよう!