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弾む気持ち
大晦日当日。
睦月が家 に顔を出す夜までは、家の大掃除をしていた。
これが結構大変で、二階建ての家の中を一人で終わらせるなんてできる訳もなく、いつもはしない窓拭きやクローゼットの中、棚の中などをキレイにするのにほとんど時間が吹き飛んでしまった。
「……疲れた。昨日のうちに鍋の材料買い込んでて良かった……」
睦月は日を分けて家の大掃除をするので、俺みたいに苦労はしていないと思うが、ちょっと気になってしまいメッセージアプリを開いて手伝いが必要ないかという旨のメッセージを送ってみる。
返信はすぐに返ってきて「もう終わった」という短い文章が送られてきた。
「そうだよなぁ。あいつしっかりしてるしな」
何も問題がなければ、他にすることといえば鍋の材料の下準備をすることくらいだ。
少し早いがもう準備してしまおうと、台所に向かい手を洗う。
いつも通り手際よく野菜などを包丁で切りながらついつい鼻歌が漏れてしまって、自分でも今日は浮かれているなと少し苦笑が漏れた。
体は大掃除のせいで疲れているはずなのに、それが気にならないくらいに心は弾んでいた。
睦月は何をしてるだろう。
早く会いたい。話したい。
睦月が来るまでの時間がとても長く感じた。
久しぶりに二人で一緒に過ごす年末は俺にとっては特別で。
こんな一年の最後を迎えられることがなによりも嬉しかった。
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