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来年もまた……
慌てて言葉を付け足して、まくし立てる俺を見て、睦月が楽しげに笑みを溢した。
いや、確かに今の言い方は重いだろっ! 何言ってんだ俺!?
ただ、それくらい睦月と一緒にいたいと思っている、ということをわかってほしかった。
気まずくなって頭を掻く俺に、睦月が安心したようにふっと柔らかく頬を緩ませた。
「……でも、ありがと。ユキの言葉、全部、嬉しい」
「そ、そうか……」
ドン引きされることはあっても嬉しいと言われるとは思わなかったので、少し戸惑う。
そんな俺を他所に睦月は風に靡く髪を押さえて手招きした。
「とりあえず、帰ろっか。雅と合流する前に、朝ごはん食べなきゃ」
「……そうだな。しかし初日の出きれいだったなぁ。……また来年も一緒に見に来ようか」
「……いいの?」
さり気なく来年の誘いをしてみたが、睦月が驚いた顔をした。
「いいに決まってるだろ? ていうか俺から誘ってるんだから、むしろ、睦月さえよかったらって俺が言いたいんだけど……」
「……うん。……うん、来年も……来年も、ユキと一緒に、見たい」
「うん、約束」
指切りは、交わせないけれど……それでも小指を睦月に向けた。
同じように睦月もそっと小指を立てて嬉しそうに微笑んでくれる。
ちゃんと、来年を睦月が楽しみに出来るように。
触れられなくても、どこかで二人の間に繋がりが持てるように。
指と指は繋がっていないけれど、俺と睦月は、確かに気持ちで指切りを交わした。
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