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神社で。
ショッピングモールの先にある神社は、小さいと言ってもそれなりに広い土地に建っている。
階段を上がって鳥居をくぐると、参道の向こうに大きい御社殿がありその少し手前に手水舎がある。
その反対側には社務所が建っていた。
大きい神社より土地が広くないので社務所に授与所が併設されている。
「うん、人はまあまあだな」
隣で辺りを見渡しながらうんうんと一人うなずく雅を横目に、まばらにいる家族連れの親子や楽しそうに笑顔をこぼしながら手を繋いでいる恋人たちを流し見た。
老夫婦や、一人スマホを弄りながら歩く男性、テンション高めな女子高生らしき集団もいる。
「んじゃ、とりあえず! まずは参拝でもしますかね」
ぽんっと俺の背中を叩いて睦月に笑いかける雅に、思わず苦笑が漏れた。
年を跨いでも雅の明るさは相変わらずで、告白を受ける前と何も変わらない三人の関係がそこにあった。
「ほら、行くぞ行くぞー」
そう言って手水舎に駆けていく雅の背中を見てから、睦月に声をかけた。
「俺たちも行こうか」
「あ……ユキ、待ってっ」
「?」
慌てた様子で呼び止めてくる声に、踏み出そうとしていた足を止めて振り返った。
迷うように視線を彷徨わせて俯く睦月に、首を傾げる。
「どうした?」
「あの……もし良かったら、後で一緒に……お守り、買いに行こ……?」
「……えぇ?」
唐突過ぎる誘いの言葉に脳が追いつかず、思わず間の抜けた声が出してしまう。
「……だめ?」
「えっと……」
それは、二人で……ということなのだろうか。
いや、そうでなければわざわざこうして誘ってこないとは思うのだが、もしかしたら三人で行こうねという話かもしれないし……。
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