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雅の気遣い

 三人で参拝を終えて御社殿から離れると、大きく伸びをする。 「ユキは何お願いしたんだ?」 「うん? あー……なんだろうな?」  興味津々といった様子でそんなことを聞いてくる雅に、適当に返事をする。  実際のところは睦月の病気が少しでもよくなりますように、といった願い事だったので、雅に言うのが憚られただけだが。 「ユキ、あっち、フライドポテトある」  睦月が境内の片隅にぽつんとあるフライドポテトの屋台を指差した。  客が三、四人並んでいて、若い男女がまたその後ろに並ぼうとしている。 「お、フライドポテト! いいなぁ!」  雅はすぐさま反応すると、俺と睦月をじっと見つめて、ふっと微笑んだ。 「俺、買ってくるよ。ついでになんか飲みもんもいるか?」 「え? いや、そんなのいいって。俺が行く」 「いーからいーから。その間に二人で御守りでも見てくれば?」 いたずらっぽく笑う雅に頬が熱くなる。 こいつ……分かってて言ってやがる。 「睦月は飲みもん、何がいい?」 「炭酸以外」 「りょーかいりょーかい。ユキは?」 「えっと、温かいお茶で……じゃなくて雅。せめて料金は出させてくれ」  引き止めながら、ポケットから財布を出してお金を手渡す。 「別に気にしなくていいってのに」  押し付けられた紙幣を受け取りながら苦笑を零す雅に、視線だけで「ありがとう」と伝えた。  ちゃんと伝わったのか伝わってないのかわからないが、雅は親指を立ててから屋台の方へ走り出した。 「ユキ、じゃあ、俺達もいく?」 「そうだな」  心なしか少しだけ嬉しそうな睦月に小さく笑いかける。  雅に悪いと思いながらも、二人きりの時間が嬉しいと感じてしまう。  それは俺も睦月もきっと同じ。  似たもの同士なのだろう。  どっちにしても雅には本当に感謝だ。

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