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気の利かない友人

「……えっと、ユキから、どうぞ」 「……いや、睦月から……」  二人で遠慮して譲り合う。 「……えっと、じゃあ……」  睦月は少し恥ずかしげに頬を染めてからチラリとこちらに視線を向けた。 「その――」 「おーい! ふったりっともー!! お待たせーー!!」 「「?!??!!」」  急に元気のいい大声が割り込んできて、びっくりして体が飛び跳ねる。  声のした方を振り返ると、雅が袋を片手にこちらに手を振って走ってきた。 「(わり)(わり)ぃ! コンビニまで向かったら思いの外、結構遠くてさぁ! めっちゃ時間かかったわー! …………ん? どした、二人とも? なんでそんな離れて座ってんだよ?」  びっくりしすぎて椅子の隅まで移動して顔を逸らす俺と睦月に、雅が不思議そうな顔で首を傾げた。  うん、まぁ、こいつはこういうやつだよな。知ってた。  だけど、気を使うならもっと空気読んでくれよ……!  そう言いたくなったが、せっかく二人の時間を作ってくれた相手に、それはあまりに恩を仇で返す行為なので、ぐっと呑み込んだ。 「……なんでもねぇよ。つか冷えてんじゃね?」 「大丈夫大丈夫! 腹に入りゃなんでも同じだって」  流石にフライドポテトは冷たいのはあんまりだと思うが、黙っておくことにしよう……。  雅から飲み物とポテトを受け取って三人で美味しくいただく。  言わずもがな、ポテトは結構冷たくなっていた。  俺だったら先に飲み物買いに行くけどな……。  ……まぁ、二人きりの時間の代償ということにしておくことにした。

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