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気持ちの揺れ
冬休みも残るところあと三日という今日。
俺と睦月は二人で食材の買い出しに来ていた。
モール内に流れるBGMを聞きながら、一緒に献立を考える。
少し前までは俺が前日に勝手に食材を決めて見繕ってきていたが、ここ最近は二人で店に行ってから何にするか決めることが多い。
本当は先に決めておくと買い物が短く済むのだが、睦月と一緒にいられる時間が幸せなので、むしろ長くなってくれても全然構わない。
「んじゃ今日は肉じゃがってことで。じゃあ、じゃがいもとか取ってこねーと」
「俺、行ってくる」
「いや、二人で行こう。ついでに人参とか色々いるしさ」
「うん」
嬉しそうに笑顔を向けてくる睦月に俺も自然と笑みを零した。
こういう何気ない時間が、とてつもなく幸せだ。
本当、ずっとこんな日が続けばいいのに。
◇ ◇ ◇
「おーい、雅ー? 行くぞー?」
「あー、うん。悪 い。今行く」
ゲームセンターの壁に背中を預けて、スマホ片手にぼーっとしている俺に、一緒に来ていた守屋と新田が声をかけてくる。
適当に返事をして、もっていたスマホをポケットに突っ込んだ。
今日は昼過ぎから暇だったのでユキにどっか行かないか誘ったが、午後から睦月と買い物に出かけると言われて断られてしまった。
うん、無駄に仲良くてホント妬ける。
まぁ、ユキのそばに今まで通りいると決めて、二人のイチャイチャを見ることは覚悟していたが、やっぱり目にするたびに悔しいし心が痛む。
そんなこんなで、ヤケクソに守屋と新田を誘ってゲームセンターまで来ていた。
が、いまユキは何してるだろう?とか、どこにいんのかなとか、無駄に気になってしまって、心ここにあらずになっていることが多かった。
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