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平穏の影に 2
「ホント大丈夫なん?」
「だーいじょうぶ、だーいじょうぶ。騒がれんかったらどうにかなるって」
「ツキさんがそう言うなら信じるけどよ。でも、ほんまえーんか?」
「むしろ殺さねぇ程度なら好きにしていいぞ」
流石にヒソヒソ話していても、ここまで近づけば会話がはっきり聞こえてくる。
だけど、その内容がどこか不穏な気配を帯びていて、ごくりと息を呑んだ。
これ以上、関わってはいけない。
そんな気がするのに、俺の体は一ミリも動いてくれない。
関わってはいけないと思うのに、何故か聞き逃してはいけないような気もしたのだ。
「じゃあ、ニ日後、午後に駅前に集合ってことで」
「楽しみにしてるわ」
「よろしゅうな、ツキさん」
「なるべく目立たねぇ格好で来いよ。変に目をつけられたら厄介だからよ。怪しい格好したイケメンのお兄さん達が屯してました、なんて言われた日にゃ面倒だしな」
ツキと呼ばれた男の言葉に集まっていた三人くらいの男が一斉に笑い出す。
その下卑た笑い声に眉を顰めながら、この場から離れようと身を翻そう――として、次に聞こえた言葉にその足が止まった。
「あぁ、それと。もしサツにバレそうになったら一旦遊ぶのはやめて、せめてあいつだけでも――」
「雅ーーー!? どこいったぁーー?!」
「っ!?」
遠くから聞こえた守谷の声に体が大きく跳ねる。
その拍子に近くにあったアーケードゲームがガタッと音を立ててしまい、俺は慌ててその場から逃げ出した。
「はぁっ、はぁ……っ、ふぅ……っ」
元いた位置まで戻ってくると、乱れた呼吸を必死に整える。
だけど、どんなに呼吸を整えても、体の震えは全く収まらず、歯がカチカチと音を立てた。
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