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★手繰り寄せる思い

 何時間、そうしていただろうか。  いや、何時間だと思っているだけで、大して時間は経っていないのかもしれない。  未だ終わらぬ陵辱に俺の体は悲鳴を上げていた。  喉は無理矢理押し出され続けた喘ぎ声に痛めつけられ、体は度重なる抽挿のせいで軋むような激痛を感じていた。  痛い。いたい。さむい。  あと、どれくらい耐えれば終わるのだろうか。  永遠にも感じるほどの時間に、また俺の頬を一筋の涙がこぼれ落ちた。  こんなことなら。  こんなやつらに抱かれるくらいなら、ユキに抱かれたかった。  ユキと愛し合いたかった。  なんでこんなことに、なったんだろう。  ユキ。――ユキ。  あいたい。  こんな風になってもまだ、俺の心にはユキの存在が在った。  ユキの笑顔があった。  どんなときも支えてくれて、寄り添ってくれて、いつも笑いかけてくれたユキ。  好きで好きで、たまらなくて、それなのに触れられない相手。  こんな俺でも、ずっと大切にしてくれたひと。 (ユキ――……)  あいたい。  そんな壊れかけた意識の中、聞き慣れた着信音が耳に届いた。 「あぁ?」  何度も何度も聞いた、俺にとって特別な音色。  聞こえるたびに胸が高鳴って、嬉しくて、励まされた大好きなメロディが、無機質な部屋の中に鳴り響いていた。  ユキからの電話を知らせる、俺にとっての希望のおと。 「……ッ!!」  壊れかけていた意識を必死に手繰り寄せ、近くにいた男の手から無理矢理ダガーナイフを奪い取る。 「な……っ?!」  突然の反撃に唖然としていた隙を狙って、自身の体を蹂躙していた男の首を頸動脈まで届くようにナイフで思い切り、切り裂いた。 「があ"ぁぁッ!?」

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