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睦月をさがして 2

「はぁっ……! はぁっ……、ぐ……、ふぅ……っ」  寒さの中走ったせいか喉は熱くなり、服が汗でべったりと体に張り付いていた。  家の門扉の前で膝に手をついて、必死に深呼吸を繰り返す。  チラリと睦月の家を見上げると二階の部屋に灯りが灯っていた。  それを目にして、ほっと胸を撫で下ろす。  良かった。もしかしたら家にはいないかもしれないと思っていたので、安心してしまった。 「……ふぅ……とりあえず、チャイム……」  門扉に取りつけてあるインターホンに手を伸ばし、力を込めてボタンを押す。  だけれど、しばらく待っても誰も出てくる気配はなく、俺はもう一度、二階にある睦月の部屋を見上げた。 「……おかしいな。いないのか?」  上がっていた息もやっと落ち着いてきて、背筋をぐっと伸ばすと、再度インターホンのボタンを押す。  しかし、やっぱり睦月が家から顔を出すことはなかった。  それが、何故か小さな不安を煽る。 「……寝てる、とかじゃないよな……?」  暖色の灯った窓を見つめながらそう呟いて、口元に手を当てる。  場合によっては、父親が睦月の家に訪ねてきていて、出られない、というも可能性ある。  もしそうなら、ドアが開くことは絶対にない。  なら、一度家の中に入って確認してみるしかないのかもしれない。  多少危険は伴うが、警察なんかに電話している余裕なんてなかった。  睦月が俺の家の合鍵を持っているように、俺ももし何かあったとき、いつでも訪ねられるようにと睦月の家の合鍵を貰っていた。 「……ちょっと心苦しいけど」  門扉を引いて敷地内に入ると玄関ポーチに立ち、ポケットから合鍵を取り出す。  昔、睦月とお揃いで買った猫のキーホルダが音を立てて揺れた。

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