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★君を、想う
流石に先程の惨状で睦月の部屋を使う気にはなれず、不本意ながら、もう一つある寝室を借りることになった。
クローゼットに畳まれていた布団を引っ張り出してキレイに床に敷いていく。
その上に睦月の体を横たわらせてから、穏やかに眠る姿を見下ろした。
「……睦月が願ったこと、ちゃんと叶えるな。痛かったら言ってくれ」
痛かったら。
痛くても、もう、言葉すら発することなんてないのに。
それでも俺は、睦月が生きているという前提で話しかける。
論理に反しているとか、狂っているとか、そんなこと俺にはもう関係なかった。
どうせ、この心は壊れてしまっている。
どこまでも果てのない闇の中にいる。
だったら、このまま、堕ちていきたい。
睦月と一緒に。
どこまでも、どこまでも。
深い深い闇の中に、堕ちていきたい。
息を吐き出さない唇にそっと口づけを落とすと、先程とは違う感触が返ってきた。
その感触に、一瞬、痛みを覚えてしまい、ぐっと呑み込む。
「睦月、触るな?」
優しく、優しく、触れていく。
反応なんて示すわけがないのに。
それでも、俺の手は、舌は、睦月の体を愛撫していく。
そうすることが当たり前であるように。
君がたとえ何も言わなくても、君を思って、君に触れる。
君を愛することだけ、頭の中で考えながら。
睦月。
――睦月、救ってやれなくて、ごめん。
ごめんな……。
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