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★君を、想う 2
「……っ、はぁ……っ、……ぅっ」
指で念入りに解した後孔に、自身のものを挿入しながら、俺は必死に思いがこぼれ落ちないように、唇を噛みしめる。
「ん……っ、は、ぁっ……、……っ、……つきっ、むつき……っ」
狂っている。
自分でもそう思った。
目の前にいるのは睦月であっても、もう呼吸すらしていないのに。
それでも、俺は、睦月を抱く。
こんな状況でも反応してしまうのは、俺の心が壊れてしまっているからだろうか。
それでも睦月が愛おしくてたまらない。
「はぁっ、ん……っ、は……っ、ぅ……、ふ……っ」
涙がつたい落ちる中、俺はただ無心で睦月の中で腰を動かした。
何度も口づけを交わしながら愛をささやく。
優しい言葉と口づけの雨を降らせ続ける。
睦月がかつてもらえなかった愛を、せめて俺が与えてあげられるように。
「睦月……、むつき……、ふ……っ、ん……っ、大好き……だいすき、だよ……」
ずっと望んでいた睦月との初めての肉体の交わりに、俺の心は何度も何度も揺れ動く。
こんなにも睦月に、触れられるのに。
愛を交わしているはずなのに。
触れられる理由が、睦月が死んだことなら――こんな触れ合いなんて、欲しくなかった。
こんな風に触れたかったんじゃなかった。
こんな風に、情交を結びたかったわけじゃなかった。
――こんなふうに、きみをあいしたかったんじゃなかったのに。
「……っ、……ンン……っ、うっ……、ふ……、……っ」
涙で視界が滲んで、睦月の顔が見えなくなる。
それでも、腰の動きは止まることはなく、ただひたすらに、睦月の中で果てることを望んだ。
「睦月……、む……つき……、あっ……、うッ……」
自身の限界を感じて、自然と腰の動きが速くなる。
「睦月……っ、あい、してる……、あいして、る……っ、ンン……ッ、……ッ!!」
そのまま、俺は身を委ねるように睦月の中で欲望を吐き出した。
せめて最期に。
――君に愛を、残せますように、と願いながら……。
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