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 雪――  ふわふわと舞い落ちる、やさしい冬の風物詩  君と何度も見上げた空  「キレイだね」って言い合って、微笑みあった日々  君が笑うたびに、心臓がドクンと跳ねた  君が俺の名前を呼ぶたびに、あたたかい温もりに包まれた  それなのに――  あの日、二人で見上げていた景色の中に  君の姿を見つけられないまま  今、俺は独りで佇んでいる  睦月――  最期に君がくれた言葉を、俺はちゃんと覚えているよ  君がそれを望んでくれるのなら、“あの日”の約束を果たさなければ  それが俺がしてやれる最後の君への贈り物  さよならじゃない  ずっと一緒にいるって誓ったから  だから――……

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