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第3話

「まあな、でもいい雰囲気になったから逃す手はないしさ」 そう言う黒木に、尾崎が呆れた様に言った。 「お前はホントに手が早い。高校に入って何人目だ?エッチしたの。今に刺されっぞ」 「俺はどの子も大事にしてたから、恨まれたりしてねえし」 悪びれる様子もなく言うと、黒木は時生を見て聞いた。 「北村は今、誰と付き合ってんの?」 「え…?」 「お前、ジャ○ーズ系のイケメンって女子に騒がれてるじゃん」 「いや〜、騒がれてるとか無いし」 時生が手を振って否定しても、黒木は疑わしそうにニヤニヤしていた。 「今はフリーだし」 「へー」 すると黒木は邦彦の方を向いた。 「森井、お前は彼女いんの?」 長い手足をそれぞれ組んで、黒木たちの話を興味無さげに聞いていた邦彦は、自分に話の矛先が向いて、ちょっと首を傾げた。 「いない」 「へえ、お前もフリーか。モテるやつは違うねえ、ガツガツしてないっていうか」 「俺は女と付き合ったことはない」 平然と言い放った邦彦に、時生はまたもびっくりして邦彦を見ると目が合った。

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