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第24話
時生が尚もしばらく黙っていたので、邦彦が諦めて立ち上がろうとした時、ようやく口を開いた。
「キスしたじゃん」
「うん」
「オレ、なんかすごく感じて…」
「うん、そうだな」
邦彦に股間を覗き込まれて、時生は真っ赤になって足をキュッと閉じた。
「ぜ、絶対笑うなよ」
「神に誓う」
「オレ…」
「うん」
「初めてだったんだよね、キスするの」
「…え?」
感情をあまり面に出さない邦彦が、驚いた顔をした。
「あ〜、やっぱり恥ずかしい」
時生ががっくりとうつむいた。
「あ、あんまり慣れてないのはすぐ分かった。いつしてもぎこちなかったから。
元カノたちとママゴトみたいなキスしかしてなかったんだろうと思ってた…」
膝を抱えてうな垂れている時生の隣で、邦彦が珍しく狼狽していた。
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