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第25話
「オレ、特定の彼女とか出来たことなくて、キスも何にもしたことない…」
「俺が女子と付き合った事ないって言った時、なんでオレもって言わなかったんだよ」
「お前はいいんだよ、そういう真面目な感じだし、サッカーばっかやってたのはホントだし。
オレはみんなにチャラ男って思われてるのに、今更そんな恥ずかしいこと言えねえし」
消え入りそうな声で本当に恥ずかしそうにボソボソ言っている時生を、邦彦はグイッと抱き寄せて、顔をくっつけんばかりに近づけて聞いた。
「つまり、俺とのキスがファーストキスって事か」
時生は、邦彦から目をそらしてコクコク頷いた。
「俺とキスするの嫌だった?…訳ないか。思い出して自分で…」
「ばっ、ばっか、それは言うな‼︎」
邦彦を叩こうと振り上げた時生の両手を掴むと、ソファーの背に押し付けた。
「俺とのキスが嫌じゃないなら、何でやめようって…」
「お前が嫌なんじゃなくて、お前じゃないとダメになりそうなのが怖くて…」
最後まで言わないうちに、口を塞がれた。
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