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第一の部屋:検査開始
寒さと全身の皮膚の違和感で、セイジュは覚醒した。
ゆっくりと目を開けると、そこは薄暗く、まるで空気が灰色のような、殺風景な部屋だった。
しかしセイジュは自分自身の『状態』に気づいて飛び起きた。
全裸で、両手首と首、そして腰に、薄い光を放つ輪が装着されていたからだ。
「これ、は……」
「本日の二人目、1125番、セイジュ。目覚めたか」
声は部屋の奥にある、事務用のデスクの奥から聞こえてきた。男性か女性か、子供か大人かも判別のつかない不思議で無機質な声だった。
「こっ、これは何ですか? クロイゼンはどこに……」
セイジュがデスクに歩み寄ろうとすると、デスクまで2m程度の所に見えない壁があるかのように止められてしまった。
「1125番、これからおまえにいくつかの部屋に入ってもらう。数はおまえの気持ちと身体次第だ。ここは第一の部屋、身体検査を行う」
「な、何ですかそれ! ここどこですか?! クロイゼンは——」
「耳障りだ。ゴルグ、黙らせろ」
デスクの人物が言うがいなや、部屋の天井からがしゃん、と鉄格子が落ちてきて、次の瞬間全身真っ黒で筋骨隆々なヒト型のクリーチャーが2体降りてきた。魔族の類いだろうか、全身が黒光りしていて、鋭い牙の合間から裂けた舌が飛び出している。
「な、何を——」
口を開いた瞬間、一体のクリーチャーの舌が伸び、セイジュの口腔にじゅるりと侵入した。
「ん! んんん!」
思わずセイジュは尻餅をついた。その二つに裂けた舌がセイジュの舌を挟み、吸い付くように擦り始めたからだ。
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