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第21話★
柔らかくてねっとりした感触にびっくりする。まるで鳥が餌を啄むみたいにチュッチュッと吸われ、触れ合いを楽しむかのようにされて。
呼吸を求めて秀一は薄く唇の合わせを開いた。それがいけなかった。
奨の舌が遠慮なく侵入してきた。
ぬるぬるざらり。咥内にて暴れる異物は、秀一の舌を見つけると嬉しそうに絡む。二人の唾液が溢れた。
こんなの味わったことがない。柔らかで暖かくてなんだか気持ちがふわふわしてしまう。
気がつけば秀一は奨の舌に酔いしれている。
長く甘い口付けが終わり、唇が離れた時秀一はぼーっとした。
「なに、すんだよ…」
恋愛に無縁だったので、キスなんてしたことがない。
これがファーストキスだ。
しかも相手は男、それも幽霊だなんて。
「こ、の淫蕩教師……生徒に、手を出すなよ!」
『俺は小学校の教師だぞ?手を出すわけないだろ』
「高校生なら?」
『……』
「黙るなエロ教師!ど変態ッ!僕にエッチなことすな!」
口ではそう言ったが、今のキスに秀一の身体は既に反応していた。
あの鏡の前での夢のような体験。
強く激しい快楽を思い出して身体が疼く。
奨のため息が聞こえた。
『……生きてた頃もよく、破天荒教師と言われたな、生徒から。俺は型にはまった教師じゃなかった。
不良と呼ばれる生徒たちの非行を許したりな』
『彼らは彼らで、そうなる理由がある。何かを守るためにそうしている。俺も、君とこうするのが必要だから、する』
「どういうーー」
真っ直ぐで美しい瞳が、眼差しが、秀一を見下ろしている。
「やだ、そんな風に見ないで」
堪えられなくて頬を真っ赤にし目を閉じた。
胸の高鳴りが止まらない。
言葉とは裏腹、本当は今すぐ触れてほしいなんて、絶対に言えない。
『……本当に君は可愛いよ、シュウ』
奨は身を屈め、秀一の小さなおでこの唇を当てた。
『君が欲しいんだ』
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