21 / 117

第21話★

柔らかくてねっとりした感触にびっくりする。まるで鳥が餌を啄むみたいにチュッチュッと吸われ、触れ合いを楽しむかのようにされて。 呼吸を求めて秀一は薄く唇の合わせを開いた。それがいけなかった。 奨の舌が遠慮なく侵入してきた。 ぬるぬるざらり。咥内にて暴れる異物は、秀一の舌を見つけると嬉しそうに絡む。二人の唾液が溢れた。 こんなの味わったことがない。柔らかで暖かくてなんだか気持ちがふわふわしてしまう。 気がつけば秀一は奨の舌に酔いしれている。 長く甘い口付けが終わり、唇が離れた時秀一はぼーっとした。 「なに、すんだよ…」 恋愛に無縁だったので、キスなんてしたことがない。 これがファーストキスだ。 しかも相手は男、それも幽霊だなんて。 「こ、の淫蕩教師……生徒に、手を出すなよ!」 『俺は小学校の教師だぞ?手を出すわけないだろ』 「高校生なら?」 『……』 「黙るなエロ教師!ど変態ッ!僕にエッチなことすな!」 口ではそう言ったが、今のキスに秀一の身体は既に反応していた。 あの鏡の前での夢のような体験。 強く激しい快楽を思い出して身体が疼く。 奨のため息が聞こえた。 『……生きてた頃もよく、破天荒教師と言われたな、生徒から。俺は型にはまった教師じゃなかった。 不良と呼ばれる生徒たちの非行を許したりな』 『彼らは彼らで、そうなる理由がある。何かを守るためにそうしている。俺も、君とこうするのが必要だから、する』 「どういうーー」 真っ直ぐで美しい瞳が、眼差しが、秀一を見下ろしている。 「やだ、そんな風に見ないで」 堪えられなくて頬を真っ赤にし目を閉じた。 胸の高鳴りが止まらない。 言葉とは裏腹、本当は今すぐ触れてほしいなんて、絶対に言えない。 『……本当に君は可愛いよ、シュウ』 奨は身を屈め、秀一の小さなおでこの唇を当てた。 『君が欲しいんだ』

ともだちにシェアしよう!