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第45話★

秀一の自慰を、奨は寝たまま一部始終見守る。 『……いやらしい子だな、シュウは』 寝そべっているだけで、料理が完成するのだろう。しかし、待ってるだけなど出来ないとばかり、奨は秀一に手を伸ばす。 奨の大きな手が秀一の手を覆うように包む。 「やあんッ、僕が料理して、奨さんに食べさせてあげたいのに」 『こんな刺激的な光景を見せられて我慢できるか。共同作業でいいだろ?』 共同作業。結婚式の時、ウェディングケーキに入刀する際によく、はじめての共同作業なんで言うが…自慰の手伝いも共同作業? 奨の手は秀一よりずっと指が長くゴツゴツしている。 未だ、ちゃんと感触がある彼が霊だなんて、生きていないなんて信じられなくなる。 包まれた逞しい手にリードされ、秀一の男性自身は強い刺激を加えられる。体積が増してぐん、とそそり勃つ。 「ひぃ、そんな激しくしたらぁッ」 『嫌なのか?なら、何故腰を振ってるんだ?』 「し、してない!そんな、はしたないーー」 嘘だ。あまりの気持ちよさに、秀一は腰をくねらせていた。 本当は疼いている箇所がある。 奨が黒い霧を纏った時にずくん、と性的な衝動を感じたのだ。 後ろの孔に……。 今も孔はひくひくしている。もし奨の手が、またはあの生暖かい触手が孔に触れてくれたら、どんな快感が襲ってくるんだろう。 だが、その行為を拒んだのは秀一だ。今更したいなんて、言えるはずがない。 「あ、あッ…奨さん、そろそろ、出そうッ……」 考えている間にエクスタシーの波が襲ってくる。先走りの蜜はもうお漏らしみたいに垂れて、指がぐちゅぐちゅだ。 一緒に握っている彼の指をも汚していることを考えるとたまらない。 『イっていいぞ、シュウ』 囁きが耳を熱くする。 もう限界とばかり、秀一は我慢を手放した。 「ああ、駄目ぇ、出るッ出ちゃうぅーッ!」 びくんびくん、と陸に上がった魚が跳ねるように秀一は身をしならせる。立ち上がり、寝そべる奨の顔の所へ移動する。 びゅく、びゅくっと先端から白濁が勢いよく飛び出す。 それは奨の顔、首筋、鎖骨、胸に飛び散った。 「はーッ…はあ…は…」 高校生の秀一は若さ故に精液の量が多くて濃い。やや黄色みがかった液体が何回かに分けて放出された。 『たんまりのご馳走だ』 嬉しそうに叫んだ奨は全身から黒い霧を放ち、それで顔や身体、衣服に付着した精液を吸い取る。 口元のは最後に舌でペロッと舐めた。 『ふう、うまい……』 「……もう、変態」 精液などうまいはずがなかろう。しかしいつも奨は秀一の白濁に舌鼓を打つ。 エネルギーだから?それだけなんだろうか。 「ああ、…腰、ふらふらする」 脱力し、奨の上に寝そべるように秀一は倒れる。射精は体力を使うのだ。 そんな秀一の背中に奨は腕を回してギュッと抱き締める。 「あッ」 まるで恋人みたいな抱擁に秀一は小さく声をあげる。 『嫌か?』 「嫌じゃ、ない……」 ただ恥ずかしいだけだ。秀一にとって奨との性行為はもう、ただ食事を与えるという意味ではない。といって、快楽に溺れたいだけでもなかった。 彼とだからシたい。 しかし、これ以上進むには奨の気持ちを確かめなくてはいけない。

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