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第48話

Amyからのメッセージに気付いた友基はショックを隠せない。 「あ、ああ……亜弥ーー君は、俺を許せないから、絶望して自殺してしまったんじゃなかったのか?!」 全身を震わせて頭を抱える友基。 『違うわ!あたしがいない方がいいと思ったからよ、あなたが幸せになるために』 「友基さん……Amyさんのこと、聞かせて貰えませんか。あなたは結婚を断ったんですよね。何故ですか?」 友基は顔を上げる。そんな話まで知っているのか、と言いたげな顔をしたが、話し出した。 「彼女は結婚して歌い手を辞めると言った。でも彼女の歌はもう、俺だけのものじゃなく、みんなのものだった…。 俺は彼女を愛していた、だけど彼女を自分だけのものにするなんてーー出来なかったんだ。 歌い続けて、欲しかった。ずっと輝いてて欲しかった。だから」 『友基…あたしを嫌いだから断ったんじゃなかったの?』 Amyの声は彼には聴こえない。 「それが彼女を傷つける結果になり、彼女は自殺をーー。俺は馬鹿だった、本当に。彼女を愛してる。今でもこんなに愛してる。でも、もう彼女はいない。何もやり直せない!」 涙を溢して悔しがり、友基はテーブルを叩いた。 その震える肩にAmyが触れる。 『違うわ…あなたが悪いんじゃない。あたしがあなたの話をちゃんと聴かなかったからよ。あなたの気持ちを勝手に決めつけたから』 彼女は友基を抱き締める。 霊だからなんて関係ない。 相手に見えなくとも、力の限り抱き締めることに意味があるのだ。 そこには想いがある。 『あたしは、自分に自信がなかった。どんなに知らない他人がーー沢山の人が持て囃してくれても、自分が優れている、良いものを産み出せていると思えなかった。 …自分を好きになれなかった。だから、そんな気持ちがあなたの言葉を全てネガティブに変換したのよ。死んで、わかった!やっとわかったのよ!』 『ああ、あたしの声が届けばいいのに。触れているのが伝わればいいのに!』 絶望にうちひしがれながら、叫ぶAmy。その声は魂を揺さぶるほどの力を持ち合わせていた。 友基が、ハッとして目を見開く。 「亜…弥?」 今まで霊を全く感じなかったのに、彼は傍にいる存在に気づいたのだ。 「そこに、居るのか?」 『友基?!』 友基はキョロキョロとする。姿はまだ見えないが、気配を感じたのか。Amyの必死さが通じたのか。 「いるんだな?亜弥…もしかしてずっと、居てくれたのか…?」 幽霊の存在に気付いても、友基は怯えたり動揺することはなかった。むしろ、嬉しそうに微笑む。 『ええ、居たわ。あたしはずっとここにいた。あなたの傍に』 「……聴こえる。わかる、亜弥がいるよ、亜弥!」 『やっとわかってくれたんだね。じゃあ歌も聴こえるかな?あたしの歌ーー聴いて、友基!!』 スッと立ち上がるAmy。彼女は背筋を伸ばして大きく息を吸うと、歌いだした。 あの歌だ。彼女が彼へのメッセージを込めた、心を込めた歌。 友基の表情が輝いた。聴こえているのだ。霊の存在をしっかりと感じているのだ。 秀一はその奇跡的な光景に強く感動を覚えた。

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