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第49話
『ありがとう、二人とも。なんだか迷惑かけちゃってごめんなさい』
Amyはペコリと頭を下げる。
『あたし、天国に行きます』
「え?折角友基さんはあなたを感じることが出来るようになったのに?このまま居れば姿を見せたり話したりだって」
『あたしは、友基に嫌われたと思ってたから。それがわだかまりで心残りだった。彼はちゃんとあたしを愛してくれてたとわかったから…』
胸を両手で抑えるAmy。
『離れても、大丈夫なの。あたしは行くべき場所に行くわ。そこから彼を見守る。ずっと』
Amyの身体がキラキラと輝きだして、薄くなっていく。天国へと向かっているのだ。
「Amyさんーー」
秀一の声に、Amyは最後に小さく手を振り、そしてスッと消えた。
『愛されているという自信が、彼女を変えたんだ』
奨はそう秀一に言った。
友基はAmyがいなくなったのを感じたのだろう。暫く天井を仰いでいたが、立ち上がる。
「生駒さん、ありがとう。お陰で亜弥と分かりあうことが出来ました。彼女はーー天国に行ったんですね?もう、気配を感じません」
「はい……そこからずっとあなたを見守るそうです」
秀一の言葉に、友基は頷いた。
「そっか…じゃあ、俺も亜弥に何かしてやりたいな。そうだ、生駒さん、動画編集のやり方を教えてくれませんか?俺、Amyの遺してくれた歌をまとめて、みんなに届けたい。世の中にはまだまだ亜弥ーーAmyの素晴らしい歌を知らない人がいる。その人たちに、聴かせたいんだ」
「それ、凄くいい!僕もそんな技術があるわけじゃないけど、協力させて下さい!」
二人は手を取り合う。その様子を奨は柔らかな笑みをたたえながら見つめたーー。
***
「気持ちってやっぱり、言葉にしたりちゃんと伝えないと駄目なんだね」
友基とLINEを交換した秀一は、奨と二人きりになった。
今日の事件を振り返る。
顔を付き合わせていても、ネットの関係にしても。問題は手段ではない。ちゃんと互いに向き合い、気持ちを言葉にするのが大事なのだ。
「最初はAmyさんが見えなくて、声が聴こえなかったのに、友基さんは見えるようになった」
『……波長や相性だけじゃないって事だよ。二人の気持ちが通じたから、なんだろう』
霊と人間も、人間同士と何も変わらない。むしろ、通じあうという結果がそんな風に形になるなら、霊と人間の方がわかりやすいかもしれない。
心の距離は同じ。どんなに近くとも、分かりあわなくては意味はない。
秀一は奨をじっと見つめる。
奨は生前好きな相手がいたが、伝えられずうまくいなかったと言っていた。
その相手は今もーー生きているのだろうか。それとも。
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