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第62話

「へー!神代先生と秀一さんは仲良しなんですね。ところで霊って寝たりご飯食べたりはするんです?」 『寝なくとも大丈夫だが休むよ。食事はシュウの生命エネルギーを貰っている』 『生命エネルギーって?』 「そ、それは」 真っ赤になり慌て出す秀一。 頬杖をつき、連は秀一と奨をじろじろ眺めている。 食事の方法、つまりエッチについて語り出さなかったのに秀一は胸を撫で下ろす。 「仲良しですよね、神代先生と秀一さん。まるで、恋人みたい」 「えッ!」 思わず声をあげてしまう秀一。 「いや、幽霊と人間でそんなのないかー?でも、二人はスゲエ仲良しみたいだし、楽しそうっすね、取り憑かれ生活。もっと怖いかと思ったんだけど」 連の軽い物言いに秀一はムッとした。 愉しいだけではない、大変なことも沢山ある。 「……僕と奨さんは地上に未練を残して天国に行けない霊を助ける活動をしてる。戦いになることもあるし、大変だよ。愉しいだけじゃないよ」 「そうなんだ、すげー!カッコいい!良いなあ、羨ましいなあ!」 大変さを伝えようとしたのに、むしろ連は目をキラキラさせている。 しかし、それよりも秀一がショックを受けたのは奨の言葉にだ。 『シュウ、別に自慢することじゃないだろ』 まるで嗜めるような響きだった。 「自慢…そんなつもりじゃ。正直、僕はあんまり危険なことはしたくないし……奨さんに付き合ってるだけだし」 つい、心にもないことを言ってしまう。 それが何を招くかも考えないで。 「そうなの?秀一さん、そんなに困ってるんだ…だったら神代先生、秀一さんから離れて俺に取り憑いたらどうっすか?」 「え!!」 びっくりして思わず背筋が伸びた秀一。オレンジジュースを溢しそうになる。 「俺そんな大活躍してみたいし!秀一さんが負担なら替わるっすよ。神代先生とバディとかめちゃくちゃ楽しそうだし」 人の良さそうな笑みを浮かべながら、連はわざわざ椅子を移動させて奨に近付く。 秀一に見せ付けるように。 「ねえ神代先生、駄目です?」 今まで黙ってやり取りを聞いていた奨が口を開く。 『憑依は誰でも成功するとは限らない。相性と、波長があうかだ』 「俺は先生の姿が見えるし、声が聴こえるんだから相性悪くないんじゃ?」 『それはそうだろうがーーそも、乗り替わるとか、出来るのか不明だ。憑依した霊が人間から抜け出して天国に行くのは見たことあるが』 どんどん進んで行く話しに秀一は耐えられなくなった。 両手でテーブルを強く叩いて立ち上がる。 「待ってよ!僕を抜いて勝手に話を進めないで!」 連と奨の驚いた顔。空気を壊してしまった罪悪感に、秀一は駆け出した。

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