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第74話★
ひくん、と秀一の男性自身が生き物のように鎌首もたげ揺れる。先端から蜜がたらり、滴り。
黒い触手たちがさわさわと秀一の肌の上を這う。二本は胸元に向かい、突起を弄り始める。もう二本は秀一の男性自身に絡み付いた。
あの時と同じように、性感を触手に支配される。
「は、ああッ……」
奨はそれを黙って見ている。触手は彼の分身、奨が触っているも同然。
しかし、人間を象る彼の指先は違った意味を持つ。人差し指と中指が秀一の丸み帯びた双丘を撫で、割れ目に侵入。後孔を探り当てると優しく揉みほぐし始める。
「はぁ、…」
『そんな可愛い声を出すな。すぐに挿れたくなる』
後孔に感じる指先の感触に、秀一は肩を震わせる。その先端がつぷと内部に入ってくると、その悶えは全身へと広がった。
「ん、…」
異物感に顔をしかめる。最初は違和感しかないのに、それが彼の指だと思うと違った意味を持つ。
胸を美しく逸らし上に突き出して、更なる刺激を求める。触手はうねうねと小さな蕾を撫でまさぐり、尖らせていく。
与えられる快楽に呼応して秀一の雄はびくびくと震えて血流が激しくなる。鈴口から漏れる先走りはたらたらと竿を滴りお尻にまで到達し、奨の指を汚した。
「あ、凄くいいッ…!」
『どこがいいんだ?言ってみろ』
「お…おっぱいと、……」
答えるのを躊躇う秀一に奨は双眸を細める。そして触手による男性自身への締め付けをきゅっと強めた。
「ひ、!おちんちんが、ッ……き、気持ちいいッ!」
思わず声が跳ねて恥ずかしい言葉を口にした。おちんちん、なんて。奨が満足そうに見つめているのにまた、秀一の羞恥は煽られた。
「も、我慢出来ないよぉ、奨さん…挿れて」
吐息に混じって消えてしまいそうなほど小さな声しか出ない。
奨は身に纏うパジャマを霧に変えて裸になる。
「わ……」
彼の裸体をみるのは始めてだ。
抱き締められた時に筋肉質なのはわかっていたが。
とても男らしい体躯をしている。発達し盛り上がった胸筋、腹は腹筋が六つに分かれて割れていて、硬そうに見えた。
以前、霧になれるなら好きな人間の姿になれるんじゃ?と聞いたことがあるが、生前の肉体がそのまま受け継がれるらしい。
「……カッコいい」
思わず秀一は呟いた。彼のような雄々しい体つきに憧れていたからだ。どんなに運動を頑張っても秀一はなれなった。
黙って笑みを浮かべる奨。中腰になり、怒張した男性自身の根元を握って秀一に見せる。
『シュウ…今度こそ俺は、本当の意味で君と繋がる。君と一つになる。ーー君の中に入りたい』
あの時と同じ台詞を口にする奨。
こくりと頷く秀一。
「……来て」
寝そべったまま右手を愛する人へと伸ばす。
真っ直ぐ、ただその存在を求める一心で。
奨はそれに応え、向かい合う左手を伸ばして指と指をしっかりと絡めた。
重なりあい、一つになる二人の掌。
次はーー身体を重ねよう。
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