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第83話
今回は簡単に片付く事件ではないようだ。秀一は頷いたが、猫の霊を見つめる。
「猫はどうするの?」
白猫は磁場であるあの部屋を離れられないだろう。置いていくしか…
「おいでよ、にゃんこ。俺ん中に入りなよ」
ぐるぐる巻きの猫に手を差し伸べたのは連である。
『おい、危険だぞ!』
「大丈夫だよ。俺のこと覚えてるか?たまに撫でてやったろ?餌だってあげたろ?」
白猫に手を伸ばす連。秀一が止めようとしたが、間に合わない。
猫からも黒霧が現れた。それは連の身体をみるみる包んでいく。
「うわ…!!」
一瞬で猫の姿が消えた。呆然としている連。
「連さん何無茶苦茶すんの!死狂だよ?!おまけに猫だよ?!」
「いやだって猫可哀想じゃん。可愛がってたおっさんは死んじゃっておまけに誰かに殺されて…あ、下腹が重い。秀一さんが言ってたのこれかー」
連の様子には変わりはない。死狂に乗っ取られて暴走したりするのかと思ったが。
「全然、平気のへいちゃらだにゃ」
「にゃ?!」
まさかの猫語に秀一は眩暈がした。
「奨さん、これ大丈夫なの?!人間の身体に猫が入るのって」
奨は首をゆるゆる振りながら頭を抱える。想定外の事態に困っているようだ。
『いや、俺にも霊の全てがわかるわけではないが』
考えこんでから、難しい顔つきをして連を見つめる奨。
『しかし、取り憑かれてしまったなら尚更、事件を解決して猫を天国に送るしかないだろう』
「そうだにゃ。事件解決すれば問題ないにゃ!」
連ってこんなキャラだっけ?
いや、確かに軽いノリは変わっていない。
と、連の体内にいた猫が実体化した。なんと白猫は図々しくも、胡座をかいている連の膝の上に丸くなっている。
「はは、可愛い。これならずっと居てもいいよ」
連は上機嫌だ。しかし秀一は、彼に告げねばならないことがある…
「あの…連さん…」
「何?」
「霊が磁場を離れると生命エネルギーが必要になるんです…」
「へえ、そうなんだ?」
「だから僕は奨さんに毎日生命エネルギー、つまりご飯をあげてるんですよ…」
段々秀一の顔が赤くなる。話の先の見えない連はきょとんとしたままだが。
「生命エネルギーって精液なんです。つまり連さんは猫にその…」
「は?!」
顎が外れるほど連が驚いたのは言うまでもない。
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