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第84話
既に夕方になっていた。連の母親が仕事から帰宅するとのことなので、秀一と奨は連の家をおいとました。
帰り道、秀一と奨は話をする。
「連さん、どうするんだろ…猫を体内に入れたりして大丈夫なのかな?」
『死狂状態ではなくなっていたとは思うが。前に餌をやったりしていたという話だから、羽柴君のことを猫も思い出したのかもしれない』
連の顔には襲い掛かった猫がつけた痛々しい傷が残ったわけだが…
「といってもご飯の問題が…キャットフードじゃ駄目だろうし」
霊体は人間が発する生命エネルギーを活動の糧としている。
だから秀一は奨に自身の精液を分け与えているわけで。
性行為自体に関しては、エネルギー云々だけではなく最近求められているが。
いや、互いに求めあって、いるのだが。
『舐めさせるんじゃないか?猫に』
「?!」
唐突な奨の言葉に秀一は足元になにもないのにつまづいて転びそうになった。
何を言う?!
『案外夜のプレイとしてはありなんでは』
「なッ…」
『猫の舌はざらざらしてるだろう?気持ち良いのでは』
ニヤニヤ笑う奨の肩を秀一はバシッと叩いた。
「このッ、変態教師!」
脚をM字に開いて猫を招き入れ、大事な部分を舐めさせる連を想像してしまったじゃないか!
秀一が怒っているのを他所に、奨は更に爆弾発言をかます。
『俺も舐められたい』
「は……?!」
突然の言葉に秀一は固まってしまう。それって、まさか。
「ね、猫に?」
『違う、シュウにだ』
胸の鼓動が早まり、秀一は汗をかく。頬が紅潮し、奨の顔をまともに見られなくなる。
「それって、その……」
いつも秀一が奨にされていることを思い出す。
ざらざらした彼の舌が秀一の男性自身に触れる感覚を。
彼の熱い咥内に包まれるとえもいわれぬ快楽に蕩ける。
それを、秀一にして欲しいと彼は言っているのだ。
「はう……」
妄想が、連から奨に変わる。股間に顔を埋めているのは猫ではなく秀一自身だ。
真っ赤になり、汗をかく。
恥ずかしい。でも…
でも、彼が望むなら。
「わ、かった。だけど」
俯いて、奨の腕にぎゅっと掴まる。
「下手でも怒らないでよ?」
奨がそんなことでは怒らないと知りながらも、そう言う秀一であった。
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