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ホワイトアウト

先輩が与えてくれる刺激は、ずっとずっと、熱くて、優しくて……。 俺の身体は、全身が喜びに震えていた。 こんなに、気持ちいい事……、生まれて、初めてで……。 もう……何にも、考え、られな……。 「マル……」 耳元で、先輩のざらりとした声。すごい、気持ちいい……。 「あぁぁん……っ」 「奥まで、入れるぞ」 何、を……? どこ、まで……? 次の瞬間、お腹の奥にビリビリと痺れるような感覚と、強烈な快感が襲う。 「ぅああ、ああああっっっ、せんぱい、のっっっっ! んんんんんんっっっ!!」 奥に……、奥に、来てるっっ、ビリビリ、来てるっっっ!! 「ぁ、ああっ、ぁあぁぁああんっっっ!」 ビリビリ止まらな、あぁああっ、お腹、奥から、ぎゅうぎゅうするぅぅぅうっっ!! 「んんっんんんんんんんっっっっ!!」 すご、ぃ、終わらな……、んんんんんんっっ、イクの、止まらないぃぃっっ!! 「――――っっ、っっっ、!!」 全身が跳ねる。息ができない。 全部がお腹の奥に集まる感じ、全部……、ああ、全部……っっ。おかしく、なり、そ……っっ。 あ、先輩、俺の髪……撫でて、くれてる……。 ……あれ、なんか、前がチカチカして、……見えなくなって……きた……。 先輩、せん、ぱぃ……俺を、離さない、で……――――。 *** 目が覚めたら、朝を少し過ぎていた。 部屋には俺だけ。扉には、鍵がかけてあった。 シーツにも染みひとつなくて、ともすれば、全部夢だったのではないかと思えそうだった。のに。 椅子に座ると痛い。その、えーと、……どことは言えないけれど。 鍵は、確かに先輩なら外からかけられるだろうし、シーツは……取り替えてくれたんだろうか。それとも、まさか……。 俺は、先輩が液体を吸収できることを思い出す。 でも流石に、俺の……その、……俺の……体液までは、吸収しないと思うけれど……。 この部屋で、ランプの灯りに照らされていた先輩の姿が蘇る。 緩やかに波打つ瑠璃色の髪。抱き寄せられた胸板は、俺とは違って厚みがあって。ガッシリした大きな腕が、俺をしっかり支えてくれて……。 いやいや、やめよう。思い出すのは。 なんだか恥ずかしくなってきた。 俺は赤くなる顔を振って、昨夜の出来事を振り払う。 今日は休みだから、このまま部屋にいれば先輩と顔を合わせることもないだろう。 けど明日は早速外での任務がある。 一体どんな顔して……。 不意に、昨夜先輩に怒鳴られた言葉が耳に蘇る。 『あいつらに「俺はもう死にたいからほっといてくれ」って、今すぐ言って来い!!』 …………ああ……、そうか。 俺、死にたかったんだっけ……。 その事で、あんなに頭をいっぱいにさせていたはずなのに。 すっかり忘れていた事が、自分でもどこか信じられなくて、そんな自分が馬鹿みたいで、一人の部屋で俺は渇いた笑いを零した。 *** 今日は、先輩の顔を見なくて済む。 そう思っていたのに、彼はわざわざ俺の部屋までやってきた。 「よぉ、マル生きてっかー?」 俺が、その戸を開けようかどうしようかと迷う間に、先輩は勝手に鍵を開けて入ってきた。 「居るなら居るで返事くらいしろよ、心配すんだろ」 心配……。 心配して、くれたんだ……。 俺は緩みそうになる口元をぎゅっと引き締めて、先輩を睨む。 いやダメだ。もう、これ以上隙を見せるわけにはいかない。 反射的に身構えてから、俺は心の奥底で思う。 でもこの人になら……、俺の全てを知ってもこんな風に変わらず接してくれるこの人になら、少しくらい隙を見せても、甘えても、許されるんじゃないだろうか。 その期待するような微かな思いには、俺自身、まだ気付かない。 「体の調子はどうだ? おかしいとこはないな?」 先輩の視線が、俺の体を足先から頭までじっと観察する。 そんなに、ジロジロ見られると、なんだか……。 思わず背けた顔が赤くなってしまいそうで、俺は必死に唇を噛んだ。 「……まだ死にたいか?」 静かな声で、先輩が問う。 ハッと顔を上げれば、翠の小さな瞳が俺を真っ直ぐ見つめていた。 宥めるような、気遣うようなその色に戸惑う。 先輩は、昨日の俺をどう思っただろうか。 俺は……、昨夜……。 ……そこまで考えて、俺は堪えきれずに赤面した。

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