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◎後悔
俺の言う通り、後輩は素直に眠りに落ちた。
柔らかなプラチナブロンドが、マルクスの呼吸に合わせて微かに俺の胸元をくすぐっている。
安心しきった寝顔。
まるで、子どものようだ。
いや、今のマルクスは本当に、親を求めて泣く子どものようだった。
マルクスの彼女を殺したというあの鎌切り男の存在が、良くも悪くもこいつをずっと縛り、命を支えていたのだろう。
仇討ちを成したマルクスは、やるべき事を見失い、生きる意味まで見失った。
俺がもし、こんな事になる可能性に少しでも気付いていたなら……。
ターゲットを無理にうちの班に回してもらった事が、酷く悔やまれる。
「……結局、俺がお節介を焼いたせいなんだよなぁ……」
ため息と共に吐いた言葉は、誰に聞かれることもなく部屋の隅の暗がりに溶けて消えた。
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