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「――遅い」  資料室に入るなり、待ち構えていた蓮から冷たい視線を浴びせられ、理人はグッと奥歯を噛みしめた。 「あまりにも遅いから、今日は来ないかと思った」 「……んなわけ、ねぇだろ」  もしもこの場所へ来なかったら、容赦なくあの写真がばら撒かれる。それだけはどうしても避けたかった。 「フン、相変わらず反抗的な目だね。まぁいいや……早速始めようか」  今日は一体なにをさせるつもりだろうか? どうせまたろくでもないことに決まっている。 「ズボンを脱いで、下着も全部」 「……は?」  一瞬何を言われたのか分からなくて、呆けたような声が出た。 「聞こえない? ズボン脱いでパンツも下ろせって言ったんだけど」 「なっ……ふざけんな! 誰がお前の前でっ!」 「へぇ……、逆らうんだ?」  途端に蓮の声が冷たくなり、背筋が凍るような感覚に襲われる。 「出来ないならいいよ別に。写真なら沢山あるし……どの写真を貼りだしてやろうか。あぁ、どれともケンジも一緒に犯してやろうか?」  冷ややかな嘲笑を浮かべた蓮の言葉に、ぎりっと音がするほど唇を噛んだ。屈辱で視界が滲む。 「よせ! ケンジはもう、関係ないだろ」  絞り出すようにして発せられた言葉に、蓮は鼻で笑うと答えた。 「君が出来ないって言うなら仕方がないよ」 「く……っこのクズがっ!」  睨み付けてやっても、蓮は涼しい顔を崩さない。戯言を吐くその口を今すぐに塞ぎたい。だが、ここで逆らえば本当にケンジを巻き込んでしまう。それでは本末転倒だ。 「で? どうするの? やるの?」 「チッ……」  どうせ決定権は自分にはない。コイツが持っているデータを何とかしなければ、この先ずっとこうやって脅されるのだ。  そう考えると、腹立たしくて仕方がない。  理人は覚悟を決めると、悔しさに拳を握りしめながら、理人は震える手でベルトに手を掛け、制服のスラックスと下着を下ろして下半身を露わにした。  丸出しの下半身を他人に見られていると思うと恥ずかしくて堪らない。顔が熱くて、心臓が激しく脈打っていた。  その様子に蓮は満足そうに笑みを深めると、近くに置いてある箱を開けた。中には様々なアダルトグッズが収納されている。 「ねぇ、どれがいい? 選ばせてやるよ」 「ふざけるなっ! どれも嫌に決まってんだろうが!」  ニヤついた顔で問いかけてくる蓮に、思わず怒鳴りつける。 「んー、そうだなぁ……じゃぁ今日はこれで遊ぼうか」  理人の言葉など意に介さず、蓮が手に取ったのは細い棒状の物だった。長さは30センチほど。先端が丸く膨らんでいて、持ち手の部分にはスイッチがついている。  それを目の前に突き出され、理人は眉をひそめた。  いったい何に使う道具なのか、全く想像が付かないがろくでもない道具であること位は容易に想像が付く。  ジリッと蓮が近づいて来て、理人は反射的に後ずさる。だが、背後にあるのは壁で、それ以上後ろには逃げられない。  トンと背中が壁にぶつかると同時に、蓮は一気に距離を詰めてきた。  蓮の手が腰に回され、身体を密着させられる。伸びて来た手が下肢に触れ、まだ萎えているソレを徐に掴んだ。 「なっ……おいっ何す……っ」  慌てて蓮の手を掴むより性器に細い棒が突き立てられる方が早かった。振り払おうとした手を片手で掴まれ、ゆっくりと尿道に細い棒が埋め込まれていく。 「や、止めろっ馬鹿!」 「暴れると、傷ついて怪我するかもしれないけど、いいの?」  手を壁に強い力で押さえつけられ、耳元で低い声がねっとりと囁く。耳たぶを唇で挟まれ舌で嬲られる感触にゾワゾワと鳥肌が立った。  その間にも、ゆっくりと異物が侵入してくる。  本来排泄にしか使われない穴に何かが入ってくる違和感に吐き気がした。中が傷付くかもしれないと言われた恐怖が、本能的に理人の抵抗を奪わせた。  今のところ痛みはそれほど感じていない。ローションでも塗ってあったのだろうか、ヌプヌプと音を立てながら狭い隙間を押し広げ、少しずつ中へと入りこんでくるソレに得体のしれない恐怖を覚える。  身を固くしながら耐えていると、尖らせた舌が耳孔に侵入して来た。 「ふぁっ」  瞬間,下腹がジュワッと熱くなって鋭い快感が生まれる。 「耳、弱いんだ」  蓮の声が微かに熱を帯びた。自然と逃げようとする頭を押さえつけられ、熱く濡れた舌先で執拗に責められた。  その間も、ゆっくりではあるが挿入が続けれられていて、やがてコツンと最奥に辿り着いたのか、動きが止まる。  しかしそれは、決して終わりではなかった。  蓮はおもむろにスイッチを入れる。ヴゥンという振動と共に、中の棒は小刻みな刺激を肉茎に与えた。 「う、んん……っ!」  堪らず嬌声が洩れそうになり、理人は堪らず蓮を掴んでいた手を離し手で自分の口を押えた。  その様子が面白かったのか、同時に耳への愛撫が再開される。耳の溝に沿ってねっとりと舐め上げられ、時折軽く歯を立てられた。  両方から与えられる未知の快楽に、ビクビクと内腿が痙攣する。  こんなの、おかしい。こんなの気持ち悪いはずなのになんで……。 「んぅ、んんん~!」  次第に高まる射精欲に、理人は首を振って必死に抗った。  だが、そんな事は無駄だと言わんばかりに蓮は容赦なく理人を追い詰めて行く。 「はは、尿道バイブって凄いね、秒でガン勃ちじゃん」  ゆっくりとバイブを抜き差ししながら耳を執拗に嬲られる。くちゅくちゅと濡れた音が鼓膜を震わせ、それがいやらしくて堪らない。尿道側から前立腺を弱い振動で刺激され腰が抜けそうになる。  膝がガクガクして立っていられず、我慢できずに理人は蓮にしがみ付いた。

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