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「んぁ……あ、あっは、ぅ……っ」
口から零れる声を抑える事ができない。こんなのは自分じゃない。
認めたくないのに、体は素直に反応してしまう。このままでは本当にイってしまう。それは嫌だ。
蓮の前で絶対に、これ以上無様な姿を晒すわけにはいかない。
そう思うのに、意思に反して体は徐々に追い詰められていく。
「はは、顔真っ赤にして……随分といい顔になって来たじゃないか」
そう言うなり、蓮はポケットに入れていた携帯を取り出してカメラを構えた。
「は、く、止せ! 撮るなっ!」
「誰に命令してるんだ?」
「ぁあっ!」
その瞬間シャツの上から乳首を強く摘ままれ、びりっと弱い電流のようなものが全身を駆ける。
そして再び耳を食まれた。今度は優しく甘噛みされて、その度にぞくりと甘い痺れが背筋を這い上がっていく。
「ん、ふ……く、もう、やめ……っ」
蓮の服を握り締め、襲ってくる感覚に耐えようとした。だが、容赦なく蓮は追い打ちをかけて来る。
「なぁ、もう限界だろ? イッちゃえよ」
低く艶のある声で、悪魔のような言葉を囁かれる。いやいやをするように首を振ると、蓮は更に強く奥まで押し込んできた。
「ふぅん、イきたくないのか……相変わらず強情だな。でも、それもいつまで持つかな?」
バイブのスイッチをオンにしたまま腰を掴むとグルンと身体を反転させられた。尻を突き出すような体勢にさせられ、慌てて振り向こうとするより早く蓮の滑らかな指の腹が双丘を割り開く。
「やっ! 止めろ、変態っ!!」
もっともみられたくない恥部を剝き出しにされて、羞恥に頬がカッと熱くなる。
「誰が変態だって? あぁ、お前か」
蓮は理人の抗議を鼻で笑うと、ポケットから携帯型のローションのボトルを取り出すと理人の尻に掛けた。
ひやりとした感触に一瞬息が詰まる。
蓮はそのままローションを絡めた指を遠慮なしにつぷっと後孔に埋め込んだ。
「くっ……!」
そのままぐりっと中で回転させるように動かされて、鈍痛が走る。
「なぁ、前回此処に何が入ってたか覚えてる?」
指を抜き差ししながら体内を擦られ、ゾワゾワと全身の毛が総毛だった。覚えているも何も、忘れられるわけがない。
「し、知るかっ!」
「へぇ、じゃぁ思い出させてやるよ」
蓮はそう言うと、中を探っていた二本目の指を折り曲げクイックイっと腸壁を引っ掻いた。途端に強烈な疼きが生まれ、理人は目を見開いた。
「ひっ、あ……ぁあ! やめっ」
「あぁ、ここ。好きだろ、お前」
蓮はそう言いながら何度も同じ場所を刺激した。そこは、前回の性交で散々弄ばれた場所で、そこを突かれただけで理性が飛ぶほどの快感に襲われる。
バイブと指の両方から刺激されればひとたまりもない。膝から崩れ落ちそうになり、理人は壁に爪を立てた。だが、それでも蓮は容赦しない。
「あ、ああ、駄目だっ! く、ぅうっ」
「どう? 気持ちいい?」
揶揄するような声が背後で響く。馴染ませるように指をぐるりと回しローションで滑りが良くなった指がぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てた。
そのリアルで卑猥な水音が聴覚を刺激し、息が詰まる。
「ん……、き、気持ちいい、わけ……っない、だろっ」
「ふぅん、今にもイきそうなくせに?」
蓮は意地悪くそう言って笑みを浮かべると、一気に三本目の指を突っ込んで激しく抜き挿しを始めた。
「ひぃ、ん、ん、ぅ、や、ぁあ、ク……っ」
「はは、凄い音。聞こえる?」
「くっ……」
わざと音を聞かせるように、じゅぽっ、ぬちゅっ、と厭らしい音を立てて責め立てられる。
「そ、こばっか……や、め……っ」
「何で? 好きなくせに。こんなに俺の指を締め付けて」
違う。好きなんかじゃない。こんな屈辱的な行為で感じるなんてありえない。
それなのに、身体は勝手に反応してしまう。指がもたらす疼きに、蓮の言葉を否定するかのように無意識に腰が揺れた。
「腰、揺れてるよ……そんなに、欲しいの?」
「違……うっ……誰が、ぁ……」
「違う? じゃぁ、その床に染みを作ってるのは何だろうな?」
腰を掴んでいた手が外れ、がくりと膝が折れた。そのままずるずると腰を落とした理人を追って蓮が覆いかぶさるように屈んでくる。
その手が理人の前を弄った。バイブによって弱い刺激を与え続けられたペニスの先端からはとろとろと先走りが溢れ、興奮を自覚させるように大きく膨らんで脈打っている。その先端の小さな穴を押し広げるようにして蓮は親指を押し当ててきた。
「ふぅん、やっぱり気持ちよかったんじゃないか」
蓮の手が動くたびにヌチャッという粘着質な音が聞こえてくる。同時に後ろも指をバラバラに動かしながら責められて、頭がおかしくなりそうだ。
「ん、く……も、やめ……っ」
「止める? 止めてもいいのか?」
耳元で甘く囁かれ、ぶるっと体が震えた。
「ん、あ、ぁあ、ん……っ」
蓮の問いかけに答える余裕など無い。堪えようとしているのに全身がガクガクと震え、蓮が指をほんの少し動かしただけでも腰が勝手に跳ねてしまう。
理人はただ首を振って必死に快楽に耐える事しかできなかった。
「はは、答えられないくらいイイんだ。此処も、ヒクつかせて……物欲しそうにして、中身は淫乱だな」
揶揄するような言葉にカッと頬が熱くなった。
「違う……っ!」
怒りと恥辱で、目の前が真っ赤に染め上がる。
こんな奴に負けるわけにはいかない。こんな汚らわしい男に屈服するわけにはいかない。
そう思うのに、体はどんどん追い詰められていく。
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