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act.5 デート!?

「じゃぁ、オレ部活あるから帰るよ」 「ん、頑張れよ! 全中行けたら応援に行ってやるから」 「うん! ……理人もインハイ目指しなよ!」 「おう」  互いに拳をコツンと突き合わせると、叔父さん達に連れられ透は笑顔で帰って行った。  その背中を見送りながら、理人は小さく溜息をつく。  良かった、昨夜のことは何とか夢だったという事で誤魔化せたみたいだ。風呂上りに透が起きてた時にはどうしようかと思ったけれど寝ぼけていてくれて助かった。  それにしても――。 「チッ……腰が痛てぇ……」  あの野郎無茶苦茶しやがって。サルかよ畜生が。腰を擦りながら悪態を吐き、部屋へと戻ろうとした時、不意にズボンの中で携帯が震えメールの着信を告げた。  蓮からの連絡だろうか? だとしたら流石に今日はマズい。もしも万が一透とヤってしまった事がバレたら、どうなってしまうのかわからない。  正直言って見たくない。いっそ気付かなかったことにしてしまおうか。ふとそんな考えも頭を過ったがそれはそれで後から面倒くさい事になるのは目に見えている。というか、そもそもなぜ付き合っているわけでもないのにそんな事を気にしなければならないのか! そんな風に葛藤していると再び携帯が着信を告げたので、理人は仕方なく画面を開くことにした。  差出人は蓮ではなく、透からで、不思議に思いながら文面に目を通す。 『昨日言ってた、理人によく似た猫? 多分知ってるかもしれない! オレの家と理人ん家のちょうど真ん中あたりにある3丁目公園の付近にすっごい目付きが悪いのが一匹居るんだよね』  目付きが悪い猫、何故だろう。そんなのに似ているだなんてなんか嫌だ。 『噂の少年が居るかもしれないから気になるなら行ってみれば?』  こんな暑い中、行くわけないじゃないか。別に……猫が気になっているわけじゃないし。あぁ、でもそう言われてみれば秀一と出会ったのもあの公園だった。  別に、秀一に会いたいわけじゃない。透の言うように約束なんてあってないようなものだし、そもそも、行ったところで会えるとは限らない。もうあれから何日も経ってしまっているから約束の事なんて忘れてしまっているかもしれないのに。それでも、もしかすると……なんて思っている自分がいる。  理人は暫く考えた後、自転車に跨ると透に教えてもらった場所へと向かう事にした。

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