本当に、機関銃のような人だったと理人は思った。　色々と突っ込みたい所とか、聞きたい事あったのに全部聞けなかった。 　二人きりになった途端、マルさんに向けていた表情から貼り付けていた笑顔が消え、一気にいつもと同じ冷たい表情に変わる。 「で？　なんでお前がケンジと此処にいんの？　デートか？」 「……あー、まぁそんなとこだ」 　否定するのも面倒くさくなって、適当に返事をするとわかりやすく蓮の眉間に深い皺が寄った。 「へぇ、動物園デートなんて健全だな。二人とも中身はドが付く淫乱の癖に。どうせデートすんならラブホとかの方が似合ってるんじゃないか？」 「っ、今その話は関係ねぇだろうがっ！　そもそも、アイツとはそう言う関係じゃねぇよ！」 　相変わらず下品な物言いに、カッとなって拳を握りしめて睨み付ける。 「ハハッ、いいねその反抗的な顔……。凄く興奮するわ。ぐちゃぐちゃになるくらい啼かせたくなる」 　嘲笑うような視線と言葉に背筋がゾクッとした。 「……チッ、この、二重人格者め」 　理人は嫌悪感を露わにして呟くと、くるりと踵を返した。これ以上関わりたくなくてその場を立ち去ろうとしたのだが、腕を掴まれ強引に引き寄せられた。 　そのまま壁に押し付けられて身動きが取れなくなる。 　抵抗しようと身を捩るが、強い力で押さえつけられてビクリとも動かない。 「おい、離せこの馬鹿力！」 「相変わらず威勢がいいな。そう言うの無駄だっていい加減学習しなよ」 　耳元に唇を寄せてねっとりと囁かれ、ぞわっと全身の毛が粟立った。 「ケンジと遊んだってつまらないだろ？　それより俺とイイコトしようぜ？」 　冗談じゃない。誰が好き好んでこんな男となんか！ 「誰が……誰がお前なんかと！」 「なに、嫌なわけ？　俺は別にケンジも一緒がいいって言うんならそれでも構わないけど？　そうだ、二人纏めて可愛がってやろうか」 　蓮の言葉に思わず目を見開く。ゾッとする台詞だった。ケンジにはあんな痴態見られたくないし、見たくもない。 「やめろ！　ケンジはもう関係ないだろ。これ以上アイツを巻き込むな！」 　理人がムキになるほど、蓮のサディスティックな笑みは深くなる。 「じゃぁ、どうするかわかるよな？」 「――くっ」 　悔しいけれど、今の理人に抵抗する術はない。理人はギリリと奥歯を噛み締めると渋々蓮の要求を受け入れるしかなかった。