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その後、昼食は涼し気な木の下で取ることにした。木陰とは言えやはり夏なのでそれなりに暑かったが、風が吹き抜けて案外快適だった。
レジャーシートを敷いた真ん中に照り焼きや、卵焼き、ハンバーグと言った定番のメニューが並ぶ。
「すげぇ。これ全部作ったのか?」
「口に合う、かな?」
「あぁ、勿論。いただきます」
理人は真っ先に肉に箸を伸ばして、照り焼きを口に運んだ。
「美味い」
お世辞ではなく、素直にそう思った。お店の人が作ったんじゃないかと疑ってしまうレベルで美味い。
「良かった」
ホッとした様子でケンジが笑う。その屈託のない笑顔を見ていると今日一緒に来てよかったと思えた。
「うん、確かに美味い。料理上手いんだな店出せるんじゃないか?」
蓮も素直に感心している。
「あはは、蓮君。ありがとう」
「これで裸エプロンでもしてくれりゃ最高なんだけど」
なんて、馬鹿な事を言いだすから、思わず口に含んでいたお茶を噴いてしまった。
「ぶはっ! ちょ、おま……っ」
「……リヒト君、大丈夫?」
「蓮が変な事言うからだろっ」
理人が怒鳴ると、蓮はニヤリと笑って見せた。
「お、良い反応。やっぱりお前もそう思うよな」
「思うか!! テメェみたいな変態と一緒にすんなっ!」
全く、何を言い出すのか。コイツの頭の中はソレばかりじゃないか。
チラリとケンジを見れば、蓮の発言にはもう慣れているのか動じることなく黙々と弁当を口に運んでいる。
「リヒト君、食べないとなくなっちゃうよ?」
「あ、あぁ……」
理人は促されるまま、食事を再開した。
その後、3人でなんだかんだと言いながら昼食を食べ、小動物コーナーや残った動物たちを見て回り、気が付けば夕方近くになっていた。
帰りの電車は比較的空いていたので、理人を真ん中にして三人で並んで座っている。
「今日はありがとう。すっごく楽しかった」
「そうか」
嬉しそうな顔で言われたらやはり悪い気はしない。今度は蓮がいない時に秀一と一緒に来よう。
そんな事を考えながら、電車に揺られていると不意にケンジの頭が肩に乗った。ウトウトと微睡んでいるようで、規則正しい寝息が聞こえてくる。
よほど疲れていたのだろう。朝早かったし、仕方がないか。
そう思って、ずり落ちそうになっていたケンジのカバンをそっと自分の膝の上に乗せ肩の力を抜いた。
すると、反対側に座っていた蓮の手がするりと伸びて来て、太腿に触れる。
「っ、お、おいっ!」
慌てて小声で抗議するが、蓮は何食わぬ顔で際どい部分を撫で上げながら、携帯に視線を落としている。
本当に、何を考えて居るんだこの変態は! いくら空いているとはいえ、同じ車内には何人かほかの乗客だっているのに。理人は身を捩って蓮の手から逃れようとしたが、ケンジがいるせいで上手くいかない。
蓮は相変わらず携帯をいじっていて、ケンジの方は熟睡してしまっているのか起きる気配はない。
どうしようかと悩んで居れば、蓮の手がハーフパンツの上から股間を撫でてきた。
(この痴漢野郎……)
理人はキッと蓮を睨み付けると、思い切り踵を上げて踏みつけようとした。が、既にそこに足は無く虚しく空を切る音が響くのみ。
「全く、しつけがなってない足だな。二度も俺の足を踏みつけようとするなんて」
「てめぇが――っ!」
「シっ、大きな声を出すと周りに気付かれるだろ?」
シレっとした表情で耳元に唇を寄せ、低く囁いてくる。
「それに、ケンジが起きたらまずいんじゃないのか? 俺達の関係はバレたくないって言ってたくせに」
そう言われると何も言い返せず、理人は苦虫を噛みつぶしたような表情で唇を強く噛んだ。
その様子を見て蓮は楽し気に喉の奥で笑うと、形を確かめるように布越しに性器に触れて来た。
こんな場所で、こんな事をされて感じるわけがないのに、触れられただけで徐々に熱を持ち始めた自身に戸惑う。
電車の揺れに合わせてゆるく揉まれ、理人は必死に平静を取り繕おうとしたが、どうしても吐く息が震えてしまう。
「ふっ、ぅ……」
「なんだ? もう硬くなってきたぞ」
「ちがっ、んな訳……ねぇだろ」
「嘘をつくなよ。他人に見られそうになって興奮してるんだろう?」
「ふざけんな……誰が……」
「なら、これはなんだ?」
グリッと先端に爪を立てられ、ビクンと身体が跳ねる。
「っぅ、は……」
悔しくて睨み付けてやるが、蓮は意地の悪い笑みを浮かべるばかりで、更に強くそこを握りこんで来た。
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