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蓮の指が動く度に、下着の中で先端から先走りが滲むのが自分でもわかる。  理人はケンジのカバンを強く握りしめ、漏れそうになる喘ぎを必死に押し殺した。  それでも、快楽に従順な自身は刺激を求めて勝手に腰が動いてしまう。  もっと触って欲しい。そんな欲求が頭を擡げ思わず口走ってしまいそうになる。  駄目だ、何を考えて居るんだ自分は。こんな、公共の場で……隣にはケンジもいるのに。理性ではわかってはいるのに、一度火のついた欲望はなかなか収まってくれない。  蓮はそんな理人の葛藤を知ってか知らずか、あろうことか大胆にもハーフパンツの隙間から中に手を突っ込んできた。  そのまま直接握られ、上下に擦られる。 「ぅ、ん……は……っ」 「エロいな。もうぐちょぐちょじゃないか」 「う、うるさいっ!」  そんな事は自分が一番よく分かってる。こんな人が沢山居るところで感じるなんて、恥ずかしさと情けなさで涙が出そうだ。 「……顔真っ赤にして……目の前に人がいるのに感じまくって。変態だな」  揶揄するように言われ、カッと頭に血が上る。  違う。俺は変態なんかじゃ……っ。  そう反論しようと口を開いた瞬間、蓮の親指が鈴口を割って尿道に突き立てられた。 「っ、ふ……ぁっ!」  ピリッとした痛みに全身が強張り、声が洩れそうになって慌てて手で口を覆った。  周囲の視線が気になって、恐る恐る辺りを見回せば幸いなことにこちらに注目をしている人はいなかった。 「んっ、ンッ……!」  蓮はにやりと笑うと理人がホッとした僅かなタイミングを狙って、執拗に亀頭を刺激して来る。 「ここが気持ちいいんだよな?」 「っ……は、ぁ……っ」  カリ首を引っ掻かれ、裏筋をなぞるように何度も往復されると堪らず鼻から抜けるような声が洩れそうになり、理人は慌てて両手で口を塞いだ。  蓮は尚も手の動きを止めようとはしない。それどころか、どんどん動きが大胆に激しくなっていく。  あぁ、拙い。このままじゃ――。  ガクガクと脚を震わせ、堪えきれないと言った風に首を振る。 「っ、蓮、これ以上は……」 「イキそうなのか?」 「う、うるさいっ! 言うなバカッ」  本当はもう限界だった。早く射精したいという欲が思考を支配し始めている。  しかし、ここは電車の中だ。こんな所で果ててしまう訳にはいかない。  理人は奥歯を食い縛りカバンを強く握り締めて、込み上げて来る絶頂感をど うにか遣り過ごそうとした。  朝からも中途半端に嬲られ、焦らされ続けていたのだ。我慢出来るはずがな かった。  だが、そんな理人を見て蓮はあっさりと手を離してしまった。  どうして、もう少しなのに……! 物足りなくて、無意識に蓮の手を掴もう としてハッとして慌ててカバンを握りしめる。  何をしているんだ。これじゃ、まるで続きを期待しているみたいではないか。理人は動揺を隠す様にわざと大きく溜息をついて見せた。  そんな理人を蓮は愉快そうに見下ろしている。  コイツは本当に性格が悪い。理人が困っている姿を見て楽しんでいる。それが手に取るように分かる。  ムカつく。でも、今はそれよりも……。

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