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「及第点、かな。強請るんならもっと可愛く強請れよ」  色気が足りないと言われ、頬がカッと熱くなる。  そんな事言われたって仕方が無いじゃないか。こんな恥ずかしい事、公衆の面前で堂々と言えるはずないだろう。  いくら人気が少ない時間帯とはいえ、全く0という訳ではないのだ。もし誰かに聞かれてしまったら……。そう考えるだけで顔から火が出そうだった。  文句を言うなと、口を開きかけた瞬間、顎を掴まれて唇が重なった。  ビックリして避ける暇も無かった。咄嗟に寄せられる身体を押し返そうとするが、意思に反して身体が全く動いてくれない。  自分に何が起きているのかわからないまま、ただ茫然とそのキスを受け入れた。 「んっ……ん、……っ」  唇に、柔らかく濡れた感触。熱い舌先が閉じたそこを割って入り込もうとしてくる。  歯列をなぞり、上顎を舐められて身体の芯がゾクッとした感覚に襲われ、なんとも言えない熱いものが込み上げてくる。 「ぅ、ン……」  蠢く舌から逃げるように奥へと引っ込めば、追いかけるように絡みつかれきつく吸い上げられた。  呼吸すら奪われるような激しい口付けに全身の力が抜けていく。情けない事に、膝に力が入らずガクガクと震えだし、蓮の腕に縋り付いていないと立っていられない。 「……ぁ、ふ……っ」  そんな理人の変化を感じ取り、蓮は口元を満足そうに歪ませると、煽る様にぐるりと口内を舐められた。  この男、なんてキスをするんだ。 こんなの、まるで……恋人同士のそれではないか。  息継ぎの合間すら惜しむかのように深く口付けられ、息苦しいはずなのに頭の中はぼんやりとしていて気持ち良いと感じてしまい、無意識のうちに蓮の舌を追いかけ追いかけてしまう。  だが、あっさりと唇は解かれ、名残を惜しむように唾液の糸が二人の間を繋いだ。 「は……ぁ……っ」  崩れそうになった腰を抱き寄せられ、くったりと蓮の胸に寄り掛かるような体勢になってしまう。 「ず、ずるいぞ……っこんなキス」  キスだけで腰砕けになってしまった自分が恥ずかしくて、文句を言えば蓮は満足そうに口元を歪ませ、憎たらしいほど当然と言った顔で理人の頭を撫でてきた。  あまりにも扇情的なキスのせいで下半身が痛い程張り詰めてしまっている。  その時、ポツリと上から雫が静かに落ちて来て、理人の髪を濡らす。見上げると、空から大粒の水滴が落ちて来た。  それはあっと言う間に勢いを増し、ザーっと大きな音をたてて地面を叩きつける。 「夕立かよ。行くぞ」 「ちょっ、止むまで此処にいた方が良くないか?」 「……そんなに待てない」 「な――ッ」  抗議の声を上げる間もなく、理人の腕を掴んだ蓮は有無を言わさず走り出した。  雨はどんどん激しさを増すばかりで、蓮は理人の手を引いてすぐ裏手にあるラブホテルへと駆け込んだ。適当に部屋を選び、  中に入ると、速攻でベッドに突き飛ばされた。バランスを崩し沈み込んだ理人の上に有無を言わさず蓮が覆い被さってくる。 「お、おいっ! いきなり……ッ」 「なんだよ」 「な、なんだよじゃないだろっ! せめてシャワーくらい」 「そんなの待てない」 「は、そんな――っん、ぅ」  反論の言葉は、すぐに塞がれ飲み込まれる。唇を塞がれたままベッドに押し倒され、服の中に手を入れられた。

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